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がんと向き合うためのFIRST GUIDE
MetLife 生命保険のメットライフ生命

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生き方を考える がん体験者による座談会

3
「がんになっての人生を考えたとき」
〔40歳代・50歳代編〕

元に戻らないことを思い知らされるが傷ついた気持ちは時間をかけて、
ゆっくり戻ることを知っておいて

がんにかかると、いやおうなしに考えざるを得ないことがたくさん出てきます。
がんになってからの人生とどう向き合い、何を考え、
どのように今、折り合いをつけているのか、心の持ち方を中心に語ってもらいました。

協力:認定NPO法人キャンサーネットジャパン

経済的不安や仕事への不安が押し寄せる

木口
がんになったとき、今は休む時期だと思って治療に専念することにしました。加入していた民間のがん保険のおかげで、仕事をしなくても治療しながら普通に暮らしていくことができたのは、ありがたかったです。
長谷川
僕も民間のがん保険に入っていたので、生活費に困ることはなかったです。このような経済的なサポートがあると目先の不安を一つ減らすことにつながり、それだけ治療に専念することができますね。
中島
がんになると経済的な不安は本当に大きいです。私は発病当時、非正規社員だったので、仕事が継続できるかどうか心配でした。大きな会社でしたけど、やはり、契約更新のときに満了という形で切られて……。ある程度、予測していたものの、つらかったですね。これは「治療に専念しろ」ということだと自分にいい聞かせました。がん患者の就労に対する企業の理解は、まだまだ十分ではない気がします。だからこそ、仕事ができない間は経済的に困らないように、社会制度をフルに活用して乗り切っていくしかないように思います。

死を意識する気持ちと、がんと闘う気持ち

大友
がんと向き合ったとき、死を意識しますが、私は最初自分が「死んじゃう」とは思わなかったのです。というか正しくは「死ねない」状態でした。子どもが小さかったので、私がいないとごはんも食べられない。だから、主治医にも「死ぬわけにいかないから、治療してください」とはっきり頼んだ記憶があります。
長谷川
母は強し、ですね。僕は発症してまもなく、一縷(いちる)の望みをかけていた薬物治療の適応がないことがわかり、その日はつらくて妻に病室に泊まってもらいました。でも、子どもたちが小さかったから「今夜は泊まれるけど、朝になったらいないよ」と妻にいわれ、「それでもいいから」と答えたけど、そうなってみると複雑な気持ちになりました。がんになっても毎日の生活は同じように繰り返されるし、家族を守るために、いつまでも倒れているわけにはいかないことも、よくわかっている。「よし、オレはやるぞ」とも思えなくて……。
大友
一縷の望みをかけていた治療法が断たれたわけでしょう。気持ちがそうなるのは当たり前です。私の場合はステージI期といわれていたので、手術すれば治ると思っていたし……。
浜田
なってしまったことは仕方がないけれど、これからどうなるのかわからないのは本当に怖かった。まず、すぐに死ぬのか死なないのか、生き延びられるとしたらどういう状態で、どのくらい生きられるのか、とても知りたかったです。でも、インターネットで調べれば調べるほど、怖いことしか書いていなくて……。さらに僕の場合、顔面神経、顎関節の一部など、腫瘍とともに切除しなければならないものが多く、自分の容姿が、かなり変わることにも途中で気づきました。そうすると手術が成功して命が助かっても、社会的に生きていけるのかという新たな不安も出てきました。最後は、主治医が「形成手術を同時に行えば、顔面の機能は低下するけど、外見的にはわからない顔立ちにできるから一緒に頑張ろう」って励ましてくれて、一歩を踏み出せました。

精神的ケアの必要性を感じることも

大友
治療でダメージを受けると、自分の体が今までどおりではないことを思い知らされますね。私はステージI期と診断されていたけれど、その後にリンパ節転移が見つかり、術後に抗がん剤治療を受けました。その治療中に仕事の研修会に参加したら体がふらふらで、いつものようにまったく動けず、それから精神的に、ものすごく落ち込んで涙が止まらなくなりました。自分がおかしくなっているのはわかっていたので、主治医につらさを訴えて精神科を紹介してもらいました。
中島
私も乳がんの手術前に受けた抗がん剤治療がはじまると、副作用で当たり前のことが当たり前にできなくなり、脱毛で容姿も変わって肉体以上に精神的につらくなりました。主治医に「心療内科にかかりたい」と頼んだら「うちの病院はとても混んでいるから、自宅近くの心療内科を探して行ってください」といわれ、見捨てられた気持ちにもなりました。主題から外れますが、がん患者への精神的ケアも十分に行き届いていないと感じています。

がんと共に生きていくということ

大友
私はこの経験から、「元の自分に戻ろう」と思っているとつらい日々が続くから、「がんになった自分を受け入れたほうが楽だ」と考えるようになりました。正しいかどうかはわからないけれど、それが「新しい自分に生まれ変わる」ということなのではないかと。こんなふうに考え方を変えたら、がんと共存していこうと思えるようになりました。
中島
療養中はいいことも悪いことも起こるけれど、がんになったからといってすぐに死ぬわけじゃない。つまり、時間は十分にあるわけですよ。治療以外の何かをしようと思えば、やれるかもしれないし……。気持ちが落ち着いてくると、がんになって時間を与えられたと思えるようになりました。
木口
私も告知されたときは「死ぬかも」って思いましたけど、それならば「死ぬまでの時間はこれまで以上に有意義に過ごせるはずだ」と、覚悟にも近い気持ちが湧いてきました。
長谷川
がんの告知や再発・転移の知らせなど、悪いニュースを受け取ると気持ちがガクンと落ちて、家族や友人、医療スタッフが懸命に手助けしてくれますが、そのときのつらさを軽減できるものは存在しないと思っています。時間だけが傷ついた気持ちを癒やしてくれる。がんや治療でダメージを受けた体は元に戻らないけれど、傷ついた気持ちはゆっくり戻っていくことを知っておいてほしいです。
大友
そうですね。心は「時間薬」が治してくれますし、悪いこともずっと続くわけではありませんから。

座談会出席者プロフィール

  • 長谷川 一男さん

    長谷川 一男さん
    (はせがわ・かずお 45歳)

    39歳のときに肺がんを発病。ステージIVと診断される。「肺がん患者の会ワンステップ!」代表。

  • 浜田 勲さん

    浜田 勲さん
    (はまだ・いさお 53歳)

    49歳のときに希少がんの一種である耳下腺がんを発病。現在、肺に転移。「耳下腺癌に負けないぞ! 腺様嚢胞癌の記録」と題し、ブログで治療情報を発信。

  • 大友 明子さん

    大友 明子さん
    (おおとも・めいこ 51歳)

    45歳のときに乳がん検診で乳がんが見つかる。乳がん患者のための「モヤモヤの会」を主宰。

  • 中島 香織さん

    中島 香織さん
    (なかじま・かおり 51歳)

    48歳のときに乳がんを発病。がん情報サイト「オンコロ」スタッフ。

  • 木口 マリさん

    木口 マリさん
    (きぐち・まり 41歳)

    38歳のときに子宮頸がんを発病。フォトグラファー・ライターとしてがん患者関係の出版物の制作にも携わる。

記事一覧

第4回「がんになったからこそわかったこと」
40歳代・50歳代編
20歳代・30歳代編
第3回「がんになっての人生を考えたとき」
40歳代・50歳代編
20歳代・30歳代編
第2回「大切な人とのコミュニケーション」
40歳代・50歳代編
20歳代・30歳代編
第1回「がんと診断されたそのとき」
40歳代・50歳代編
20歳代・30歳代編