メットライフ生命「老後を変える」編集部 2018.10.5この記事の所要時間:約6分

メットライフ生命が敬老の日に合わせ「老後を変える全国47都道府県大調査」(以下、本調査)を実施しました。この調査は全国20〜79歳までの男女1万4,100人を対象に「老後」について調査したもの。人生100年時代到来といわれ、高齢社会が声高に叫ばれる中、国民は現状をどう捉えているのか? そこには予想通りの世代間格差と、これまでにない発見がありました。

老後不安の正体は「お金」「健康」「認知症・介護」、不安な女性、楽観的な男性

老後不安を具体的に聞いたところ、本調査では「お金」「健康」「認知症」「介護」が上位という結果に(図1)。男女別にみると、とりわけ女性の不安度が高いことがわかります。

これは以前、日本を含む8ヵ国を調査したザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる報告書(メットライフ生命協力)でも表れた傾向です。この報告書では「全体として男性回答者が女性回答者よりも楽観的な見方をする傾向が見られた」と解説しています(図2)。例として、高齢者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)や長期ケアの質という分野で、男性は自国の状況より楽観的に考えがちという結果が出たと言及していることからも、これは世界的な傾向といっても良さそうです。

老後に不安を感じることTOP10 出典:平成30年 メットライフ生命「老後を変える全国47都道府県大調査(老後に不安を感じることTOP10)」より
男性の楽観的な回答傾向と女性の悲観的な回答傾向 出典:ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット「健康・経済プラン・QOL が 映し出す未来像と現実のギャップ(資産設計の問題)」を基に作成

特筆すべきは20代が全世代で最も認知症に対して不安を感じていることでしょう。これは、認知症というまだ見えないものに対して、お金や健康以上に漠然とした不安感を伴って若い世代に襲いかかっているといえるのかもしれません。彼らに対して正しい情報提供をしていくことの重要性が見えてきます。

将来に必要なお金と、現在資産に2,000万円のギャップ

国民にとって老後不安の最大要因は「お金」ですが、老後の備えとして十分な金融資産と自ら想定している金額は20代が2,333万円で、そこから徐々に上昇し、60〜70代が3,553万円となっています(表1)。しかし、実際の金融資産額はそれには及んでいません。面白いのは、年齢を重ねるごとに金融資産は増加しますが、同時に老後の備えとして想定しているお金も増加することにより、2,000万円程度のギャップが常にあるということです。

金融資産額と想定金額の差額 出典:平成30年 メットライフ生命「老後を変える全国47都道府県大調査 ニュースリリース」より ※本資料では平均値を使用していますが、平均値は高額の資産を保有される方の回答によって値が引き上げられる性質があります。回答された金額を大きさ順に並べてちょうど真ん中に位置する金額(中央値)は、表の数値より少ない金額となります。

内閣府が8月24日付けで発表した「国民生活に関する世論調査(平成30年6月)」によると、悩みや不安で最も大きな割合だったのが「老後の生活設計について」(55.4%)で、前回調査時より1.9%増えています。不安が解消しないために常に貯蓄をしようとし、そして必要と考えるお金は増加していくという循環になっているようです(図3)。

日頃の生活の悩みや不安の内容 出典:平成30年 内閣府「国民生活に関する世論調査(現在の生活について 日常生活での悩みや不安 図14-1)」を基に作成

実際、本調査でも老後に不安を感じている人は全体の81.7%で、中でも40代では約9割が老後に不安を感じるという結果になっています。働き盛りの40代が最も不安を感じているというのは、皮肉な結果と言わざるを得ません。

老後不安はあっても、行動できていない日本人

本調査で見えてきた老後不安の大半を占める「お金」「健康」ですが、一方で行動に移せていない人も多いようです。調査結果を見ると、資産運用について意向はあるものの、行動していない人が多く見られます。例えば、30代の資産運用したい意向がある人の割合が57.8%と最も高いのに対して、運用経験者はわずか31.1%でした。「やらなくてはいけない」と思っているものの、「できていない」という人が多いのではないでしょうか?

さらに面白いことに、金融資産を持っていない人ほど、資産運用は特別な人がやるものと捉えがちということもわかりました(図4)。年収500万円未満の人の5割以上が資産運用について距離を置いています。本来金融資産を殖やすために、資産運用が求められるのですが、金融資産を持っていない人ほどその意識が低いということになります。

投資や資産運用は一部の人がやることで、誰もがやるべきものではない 出典:平成30年 メットライフ生命「老後を変える全国47都道府県大調査(投資や資産運用は一部の人がやることで、誰もがやるべきものではない)」より

「健康」についても、81.5%の人が意識しているものの、運動を意識している人は57.9%と意識はしていても、具体的なアクションに対するイメージを持たない傾向が見られます(図5)。

健康に関して意識していること 出典:平成30年 メットライフ生命「老後を変える全国47都道府県大調査(健康に関して意識していること)」より

こうした結果になったのは、日本での金融教育の遅れや、健康に対する意識の低さが原因の一つかもしれません。資産運用や自分の健康をセルフマネジメントする手法などは、日本の学校ではなかなか学べません。これらを身につけるためには、みずからが一歩踏み出し、学ぶ必要があり、そのことに精神的負担を感じている人が多そうです。

不安を持っていない人たちには、どういう傾向があるのか?

多くの国民が老後不安を感じている「日本」ですが、本調査の回答者には「不安がない」と答えた層もある程度います。不安がない層の回答をさらに分析すると「なぜ不安がないのか?」という理由が少しずつ見えてきました。

まず老後不安がない人の85.1%が本音で話せる友人がいるのに対して「不安がある」と答えた人は75.9%と低く、老後の備えが「ある」人の方が「ない」人よりも本音で話せる友人がいる割合が高くなっています(図6)。

本音で話せる友人がいる 出典:平成30年 メットライフ生命「老後を変える全国47都道府県大調査(本音で話せる友人がいる)」より

さらに60代に「老後の楽しみ」と感じることを聞くと、友人がいる60代は積極的に楽しんでいるのに対して、友人がいない50代は楽しいと感じる割合が低くなっていることもわかります(図7)。

老後の楽しみ 出典:平成30年 メットライフ生命「老後を変える全国47都道府県大調査(老後の楽しみ)」より

先述の内閣府「国民生活に関する世論調査」でも、「充実感を感じる時」という項目で60代の女性は「友人や知人と会合、雑談している時」の割合が高く、60代の男性は「家族団らんの時」の割合が高いことがわかりました(図8)。コミュニケーションの重要性が見えてきます。

充実感を感じる時(60代男女別) 出典:平成30年度 内閣府「国民生活に関する世論調査(現在の生活について 現在の生活の充実感 表12-1)」を基に作成

「老後」というと、日本では隠居のイメージをもたれがちですが、社会からリタイアをする必要はありません。日本の定年制は、人口増加時に若い世代に仕事を譲るために生まれた制度とも言われています。本調査の結果からも、自らリタイアと決めて、わざわざ社会から孤立するよりも、積極的に社会に関わることが老後不安をなくし、健やかに暮らしていくことができそうです。これは、現役世代も、すでに定年退職をした方にとっても、新しい発見ではないでしょうか。

実際に、何かを目標としていたり、役割を与えられたりした人は、年齢を重ねてもコミュニケーションを通じて元気に過ごしています。「#老後を変える」では取材を通じてそうした人たちにたくさん出会ってきました。

日本は大家族から、核家族化、そして単身世帯の増加と、一世帯あたりの構成人数のミクロ化が進んでいます。その中で、自らの「生きがい」を見いだし、会話を楽しめる相手を持つこと。それこそが、将来の不安をなくし、老後においても生き生きと過ごすポイントと言えそうです。

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Posted: October 5, 2018