二地域居住から、移住へ。少しずつ、自由に、自分の暮らしを組み立てていく。

“ひとりになれる場所と時間”が欲しかった

田舎暮らしのイメージ写真

メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2018.2.2

朝起きたら鳥の声、夜寝る前は満天の星、四季折々の美しい自然を味わう田舎暮らし。そんな生活にあこがれつつも、実際に移住する方法や現地での暮らし方がまったくわからない! という方が多いのではないでしょうか。今回お伺いしたのは、南房総に通って暮らす二地域居住を10年続けた後、4年前に完全移住した永森まさしさん(以下、永森さん)です。東京での暮らしを謳歌する日々から、徐々に南房総暮らしへとシフトしていった永森さんの移住プロセスをご紹介します。

二地域居住の後、完全移住をした永森さん

二地域居住の後、完全移住をした永森さん

大学卒業後、広告業界を経てクルックというap bank(※)のプロジェクトに参画していた永森さん。音楽やデザインの世界の先端にいながら、そこでオーガニックコットンの製品を扱うなど、「(世の中に)いいことをしたい」という思いを叶える働き方ができていたといいます。

(※)小林武史氏、櫻井和寿氏、坂本龍一氏が設立した環境保護や環境保全のためのプロジェクトを提案・検討している団体/個人に対して低金利で融資を行う非営利団体。

しかし一方で、そうした仕事をする自分自身の暮らしを振り返ってみると、夜中に電気を煌々とつけて徹夜をし、ご飯を食べる時間もない状況に違和感を持つようになったそうです。

「日々、本当に多くの人たちと接する仕事をしていました。刺激的で楽しいけれど、その反動で“ひとりになれる時間と場所”が強烈に欲しくなったんです。プライベートの時間は東京にいたくない、と。“いやだ”、“したくない”というネガティブな思いが原動力になると、面倒臭さを超えて人は動くんですね(笑)」

南房総市の中山間地に家賃3万円の1Kを借りた永森さんは、休みになるとそこへ行き、ひとりで過ごしていました。サーフィンをしたり、座禅をしたり、たまに移住者コミュニティに参加したり、ひたすらぼーっとしたり。オフラインで過ごす時間を持つことで、リフレッシュしてまた仕事を頑張る気力が湧いてきたといいます。

東京で開催した南房総市のサテライトオフィス関連イベントで司会をする永森さん

東京で開催した南房総市のサテライトオフィス関連イベントで司会をする永森さん

“シェアする暮らし”をデザインする

その後、永森さんは会社を退職し、2011年に友人らとWebの制作会社を立ち上げ、同時に「コワーキングスペースHAPON新宿」を開設します。シェアして使う場所を提供する、ということを仕事として始めたこの時期に、南房総での二地域居住にもシェアの考え方を取り入れていきます。海沿いの老舗別荘エリアに借りた一軒家を「二拠点シェアハウス」にしました。6万円の家賃を4人で負担したところ、ひとりで部屋を借りるよりずっと効率がいいし面白い、と気付いて実行に移したのです。

さらに、「あわ地球村」で田んぼの共同オーナーになり、田植えや除草、刈り入れなどを仲間とともに楽しむようになりました。

「特別田舎暮らしに興味のない友人も、“お米をつくりにおいでよ!”と言うと、“やるやる!”となぜか集まってきました。お米は認知度100%のコンテンツ、みんなが楽しめるんだなあと感動しました」

2014年、お米づくりが縁でつながったメンバーとともに、里山にある古民家を借り、活動拠点「ヤマナハウス」を立ち上げた永森さん。同時に自分の住まいも借りて、いよいよ南房総に完全移住することになりました。

ヤマナハウスにはテキスタイルデザイン、IT、飲食、法律家と多種多様な職種のメンバーがかかわり、この場所での共同生活を自分たちでゼロからつくりあげることになったわけです。

「賃貸借契約書づくり、約款づくり、お金のやりくり、自由に使うための利用ルールなど、決めることは山ほどありました。とかく都市的な僕らは頭でっかちになりがちで、初めからきっちり決めようとしすぎた面もあった気がします。その経験から、今ではむしろ“やりながらつくる”ことを大事にするようになりました」

それはまるで村の運営のようで、みんなの意見をまとめたり渉外の立場を担っていた永森さんは、いつからか「村長」という愛称で呼ばれるようになったといいます。まわりには、自然と興味の対象が似ている人たちが集まり、現在の村民は7名。ヤマナハウスは、多様な人々が居合わせ、ともに過ごせる場となっています。

“村民”ともいえる同志たちで食事の用意も和気あいあいと行う

“村民”ともいえる同志たちで食事の用意も和気あいあいと行う

自分に合った暮らしをカスタマイズする

ひとりで始めた二地域居住から、“集まる田舎”をつくっての移住。永森さんのライフスタイルは、時間とともに少しずつ変化していく柔軟さがあります。「移住するのかしないのか、自給自足するのかしないのかなどと厳密な二択を迫って考えるのではなく、仕事と暮らしのバランスを見ながら、時間をかけて自分に合ったかたちにカスタマイズする。“俺の腕って短いな”、“意外と身体が硬いな”というように、自分の特徴を発見しながらね(笑)。暮らしは本来、オーダーメイドですから」

“社会人だったらこうでなくては! お母さんならこうでなくては!”といった既成の枠から自由になり、自分の暮らしを自分で一から組み立てる作業は、己を知るきっかけにもなるのでしょう。これは、移住に限らず大切なことではないでしょうか? 仕事のこと、家族のこと、健康のこと、お金のこと……ニーズは多様化し、将来に備えてどのような準備をするかは、全てオーダーメイドの時代といえます。

南房総という地域には、そんな「オーダーメイドの暮らし」の自由を許容してくれる大らかさがあると、永森さんは感じているそうです。深い自然に囲まれた環境にありながら東京からほど近く、都市的な考え方を持ち合わせた人たちも少なからず住んでいる南房総は、二地域居住者や移住者の受け入れに適した土地柄なのかもしれません。

「例えば、今住んでいる家の大家さんは、代々受け継がれてきた土地を守りながら製材所を運営していて、僕とはまったく違う人生であり、違う価値観の持ち主だと思います。でも、お互いの存在をリスペクトしながら、まるで“疑似親子”のように仲良くできているんですよね。よく薪ボイラーの材料をいただいたり、親切にしてもらったりしています」

田舎暮らしには、違いを乗り越える、あるいは違いを掛け合わせていく楽しさがあるといいます。

ヤマナハウス全景。中山間地にひっそりと佇む

ヤマナハウス全景。中山間地にひっそりと佇む

移住後の日々は、それ以前の暮らしに比べて、感じるストレスがぐっと少なくなったという永森さん。理由のひとつに、健康を促進するライフスタイルであることが挙げられるとのことです。

「都市生活では、身体を動かすためにお金を払ってジムに通いますが、暮らすことで使うエネルギーがそのまま体づくりにつながるわけですから、効率がいいですよね」

野良仕事はある意味“全身運動”で、高低差のあるところをいろいろなものを持って運ぶだけで足腰が強くなるとのことです。また、薪ボイラーでお湯をつくる家に住む以上、薪割りをしなければなりません。忙しくて畑には手が回らなくても、薪とはきちんと向き合う。全て自分でやらなければならないと考えず、外注するところがあったり、できるところだけ部分的に担っていったりと、無理なく楽しめる暮らしのかたちをカスタマイズしていくのが、永森さん流の田舎暮らしだといえるでしょう。

自由で多様で豊かな暮らしがある場所

さらに、自然豊かな住環境に身を置くと、人々がごく普通に“詩的な会話”をするようになる、というのも大きな発見だったそうです。

「市役所の人たちが朝いちばんの会話で『今日の風は、春だね』などと話しているのを聞き、とても新鮮でした。公務員が風の話をするんだ! と(笑)。彼らは、季節を感じながら暮らす生活者なんですね。村上春樹は『風の歌を聴け』という本を書いたけれど、みんな本当の風の歌を、日々聴いているのです」

そうして季節を旅するような毎日が続くことで、以前のようにちょくちょく旅行に行かなくても、豊かな気分でいられるようになっていったといいます。

“移住”というと、その地域に身も心も拘束されるようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、むしろ自由な発想で多様なつながりをつくることができるのだということが、永森さんの暮らしぶりから伝わってきます。

「都市で働く人々のサードプレイスとなるコミュニティができたり、単身者も家族も老いも若きも混ざり合ってファミリーのようなチームができたりと、風通しのいい開けた場がつくりやすいのは、むしろ都市より田舎なのではないかと思います」

いつか田舎暮らしをしたい、と考えている方は、まずは足を運んでみて、流れる風を感じ、自分にとって心地いい居場所を少しずつつくっていくのもいいかもしれません。

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