メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.9.11この記事の所要時間:約8分

 

脳の健康や生活習慣病予防のために

近年、有酸素運動の様々な効果に注目が集まっています。以前から知られているダイエットや心肺機能の向上だけでなく、有酸素運動が脳の健康にも良い影響をもたらすことが知られてきているからです。

1999年に米国デューク大学医学部の教授ジェイムス・ブルメンサルによって、うつに対する運動の効果が報告(※1)されました。報告によると、週3回、30分間の早歩きをしただけのグループと、抗うつ剤を投与したグループで、うつ病が改善した程度が同じというという結果になったといいます。さらにうつ病の再発率を見ると、有酸素運動の方が再発率が低かったと発表しました。

うつに対する治療法の研究結果のデータ うつに対する治療法の研究結果のデータ

また国内でも、2018年9月26日に筑波大学がプレスリリースを行った「短時間の軽運動で記憶力が高まる!」(※2)によると、短時間の中強度運動(例えばウォーキングなど)後に、日常生活での出来事を記憶する際に重要な脳領域である「海馬」が司る記憶機能が向上することを、人で初めて明らかにしたと述べています。

最近では、肥満や高血圧、メタボリックシンドロームなどにかかったことがある人は統計的に認知症リスクが上がるということも分かってきました(※3)。まだまだ明確なつながりを示すデータが十分には揃ってはいないものの、どうやら有酸素運動の継続は、脳の健康に良い影響をもたらすといえそうです。

そんな脳を鍛えることもできる有酸素運動。運動と聞くと難しく感じ、尻込みをする方も多いかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば年齢や性別に関係なく簡単に始められ、無理なく続けることができます。

まずは気軽なフィットネス、ウォーキングから始めよう

有酸素運動の中でも、ウォーキングやジョギングは特別な器具などが必要なく、時間や場所を選ばずにできるため、誰でも気軽に始められるのが特徴です。

準備編

特別な器具を使わないとはいうものの、シューズや服装など最低限のアイテムは必要です。ウォーキングやジョギングを始めるには、以下のようなものを選んでみてはいかがでしょうか。

・シューズ
ウォーキングをするかジョギングをするか、また足の着地方法がかかと着地か、つま先着地かなど、自分の目的や脚の動かし方の特徴などに合わせてシューズを選ぶことが大切です。そのため、靴屋やスポーツショップのスタッフに相談して選ぶと良いでしょう。

ウォーキングとジョギングのシューズの比較 ウォーキングとジョギングのシューズの比較

メーカーや製品によっても異なりますが、シューズには上記のような特徴があります。どちらもスポーツショップで購入できるので、目的や自分の足のサイズに合わせて購入しましょう。足は1日のうちでも時間帯によってむくみの影響でサイズが変わります。午前に比べて午後の方がむくんでいるので、試し履きは午後に行うのが良いでしょう。

・ウェア
散歩程度のウォーキングであれば、服装を特に気にする必要はありません。最近ではカジュアル服を扱うファストファッション店でも運動用のウェアを扱っているので、スタッフに聞いてみても良いかもしれません。少し気合いを入れて有酸素運動をしたいと思ったら、スポーツショップや百貨店のスポーツ用品売り場などの専門店でウェアを揃えましょう。最近では機能性とファッション性を併せ持ったウェアが増えています。お気に入りを身にまとえば、モチベーションもアップできるでしょう。

専門店で売られているフィットネスウェアなら、通気性・速乾性・吸水性を兼ね備えている物がほとんど。自分の体格や好みにあったシャツ(Tシャツやスウェットシャツ)とパンツを揃えましょう。本格的に走り込みたいという場合は、クッション性の高い厚手の靴下などを購入しても良いでしょう。

また、季節によって着用するアイテムも変わってきます。

春・秋:朝や夕方は冷え込むことがあります。さらに、ウォーキング中は汗をかきやすく、衣類の調節が難しいので、インナーウェアの上に、着たり脱いだりできるパーカーやジャージなどを用意すると良いでしょう。

夏:気温が高い夏は汗を大量にかくので、吸湿性と速乾性を兼ね備えたウォーキングウェアがおすすめです。紫外線が強くなるので帽子やサングラスの着用も良いでしょう。

冬:冬は防寒が大切です。汗をかきにくいからといって、必要以上に厚着したりするのはNG。適度な保温性と透湿性のあるウェアを選びましょう。外部からの風の侵入を防ぎ、内部の風を逃がすような作りのウィンドブレーカーなども販売されています。

ウェアやシューズはオンラインでも購入できますが、試着して自分の体型にあったものを専門のスタッフがいる店頭で購入するのがおすすめです。

他にも汗をかいたときに拭き取れるように、スポーツタオルを準備したり、どのくらいの時間運動しているのかを把握したりするために時計も揃えておきたいところです。最近ではスマートフォンのヘルスケアアプリで、歩いた時間や距離などの情報を取得できるので、上手に活用しましょう。

実践編

お気に入りのアイテムで身を包んだら、いよいよウォーキング開始です。最初は1日10分でも構わないので、家の周りや公園などを散歩することから始めましょう。徐々に距離を伸ばしたり、歩く速度をあげたりすることで、無理せず行うのが大切です。また、ウォーキングは行う時間帯によって、毎日の生活リズムが変わります。

日中と夜間のウォーキングの比較 日中と夜間のウォーキングの比較

自分のライフスタイルに合わせて、運動する時間を設定してみましょう。運動をする時は決まった時間に設定し習慣化、毎日継続できるよう心がけましょう。ウォーキングに慣れてきたら、徐々にペースをあげてジョギングを行うなど、無理のないように“続けること”を意識して実践しましょう。

ウォーキングを行うときのポイント

気軽に始められるウォーキングやジョギングですが、運動の前後にはしっかりストレッチを行いましょう。ストレッチを行い、筋肉をほぐすことでケガの予防にもつながります。

運動前のストレッチが大切 運動前のストレッチが大切

水泳は近くのスポーツジムなども活用

ウォーキングやジョギングに比べ場所や時間が制限されてしまうものの、水泳も有酸素運動のひとつとしてなじみのあるものです。水中では水の浮力が加わるので、足首や膝、腰にかかる負担が軽減されるので、それらの箇所に不安がある方にはおすすめです。

準備編

水泳を始めようと思ったら、まずはスポーツジムや公民館などプールがある場所を探しましょう。スポーツジムに通うとなると、入会費や月額使用料などそれなりの料金がかかります。市民プールなどなら1回のみの利用も可能で、数百円で2~3時間使用できるところが多いようです。

プールが見つかったら、水泳を行うためのアイテムを揃えましょう。フィットネス水着や競泳水着は遊泳用のオシャレ水着と比較して水の抵抗が少なく、運動に適しています。ゴーグルは度入りの物も販売されているので、選ぶ際はサンプルを着用して周囲を見渡し、違和感の無いものを選びましょう。施設によっては衛生面も考慮し、スイミングキャップの着用が義務づけられているところもあります。スイミングキャップは大きく分けてシリコーン製とメッシュ製があります。日本スイミングクラブ協会の方にお話を伺ったところ、海外では見られない日本独自の特徴として、メッシュタイプの着用者が多いといいます。

実践編

水泳と一言で言っても、泳ぎ方によって運動の強度は異なります。
厚生労働省の「身体活動のエクササイズ数表」(※4)によれば、運動の強度を表すメッツが、クロールを分速45mでゆっくり泳いだ場合8.0メッツ、分速70mで早めに泳いだ場合は11.0メッツと、同じ泳ぎ方でも運動の強度が変わることが分かります。皿洗いをするのが1.8メッツ、洗濯をするのが2.0メッツ、平地を分速100m程度の速さで歩くのが4.0メッツ。水中では柔軟体操を行うだけでも4.0メッツなので、泳ぎ方次第で水泳の方がウォーキングよりも高い運動強度を期待できます。

運動強度の比較 運動強度の比較

先述の日本スイミングクラブ協会のお話では福岡大学スポーツ科学部・田中 宏暁教授が提唱していた、無理なく長く・楽しく・安全に続けられることを意識して行う“ニコニコペース”(※5)での運動が良いといいます。「まだまだできる」と頑張りすぎると、身体を壊してしまったり、ケガをしたりするので、ニコニコ笑いながら運動を行えるくらいの気持ちで気軽に取り組んでほしいとのこと。プールなどに通うと自然と仲間ができることも多く、連絡を取り合って一緒に行くこともあるようです。そういった環境づくりも継続するきっかけの一つになりそうですね。

水泳を行うときのポイント

プールの水には、ウイルスや細菌などによる感染性を予防する目的で、一定濃度の塩素が含まれています。この塩素は目の表面を刺激することがあるので、水泳の後はしっかりケアしましょう。洗眼用の蛇口から出る水道水では軽く目をすすぐ程度にし、涙に近い成分になるように作られた目薬の人工涙液を使用するとよいでしょう。

まずは今より10分多く体を動かそう

有酸素運動が認知症や生活習慣病の予防に効果的とはいえ、普段運動をしていない人にとって、運動を始めるということは難しいもの。まずは、無理することなく“継続して”運動を続けることが大事です。

厚生労働省が定めた国民向けのガイドライン「アクティブガイド」(※6)では、『+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう』をメインメッセージに、今より10分多く体を動かすことを勧めています。そうすることで「死亡のリスクを2.8%」「生活習慣病発症を3.6%」「ガン発症を3.2%」「ロコモティブシンドローム・認知症の発症を8.8%」低下させることが可能であると示唆されています。

また、日本肥満学会・日本糖尿病学会・日本高血圧学会・日本動脈硬化学会は、各治療ガイドラインにおいて運動療法を推奨しています。それぞれの学会で表現は異なるものの、おおむね1日30~60分の中強度を週3日(1週間に10エクササイズ)以上実施することが各疾患の治療・改善に望ましいとしています。

まずはエレベーターを使わずに階段を使ったり、1駅分歩いたりするなど10分多く体を動かすことを継続することを目標にしましょう。継続してできるようになったら、ウォーキング、ジョギング、水泳など徐々に運動量を増やし、1日30~60分の有酸素運動を週3日以上行うように心掛けましょう。

※1 ジェイムス・ブルメンサル発表
  「Effects of exercise training on older patients with major depression
※2 筑波大学プレスリリース 「短時間の軽運動で記憶力が高まる!」
※3 JNeurol Neurosurg Psychiatry.
  「Meta-analysis of modifiable risk factors for Alzheimer's disease.
※4 厚生労働省 「健康づくりのための運動指針 2013」
※5 J-STAGE:福岡大学スポーツ科学部・田中 宏暁教授 「ニコニコペースの効用」
※6 厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供]「アクティブガイド」(宮地元彦)

 

*記載の情報は2017年9月11日時点のものです。

 

 
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