メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2018.2.2

 

不安な将来の老後環境をどう生きるか?

日本人の平均寿命が80歳を超えた現代社会において、いまを満足して生きるだけでなく「老後をどう過ごすか」ということがとても重要になっています。ただ、幸せな老後生活を思い描けたとしても、常に付きまとうのはお金の問題。最近では、平成29年度の年金支給額が0.1%の引き下げ(※)となったこともあり、年金だけに頼りきりにならないよう、早めに備えていくことの大切さを感じた方も多いかもしれません。

それでは、お金の心配なく老後を過ごすにはどうしたらいいのでしょうか? ひとつは「貯蓄」。働けるうちに老後に備えておくのは、将来の生活に対する不安解消につながります。

一方で「老後も働き続ける」という答えもあります。現に、日本企業の定年は60歳というのが主流でしたが、厚生年金の支給年齢の引き上げに伴い、65歳に定年の年齢を引き上げる企業も出てきています。また、定年を迎え、今までの職場を離れた後も、他の仕事で活躍する「働くシニア」の存在も社会に浸透。まさに、これからの時代は「高齢者活躍社会」といえます。

 

働くシニアのイメージ

 

正社員、パート、アルバイト、派遣社員など、さまざまな雇用形態があるなかで、今回紹介したいのが「小商い」。一言で表すならば、自分の意思が100%反映される自由な働き方です。簡単に言えば自営業ですが、あなたの「好き」や「こだわり」を存分に活かしてチャレンジするところに特徴があります。ネットショップや移動販売などを展開する労働形態が該当します。

今のうちから始められ、老後まで継続できる仕事として、そして年金+αを稼ぐための方法でもあります。「自分で稼ぐ自信がない」という方にこそ知ってほしい、お金を稼ぎつつ、やりがいに満ちた楽しい老後を実現できる、今注目の働き方をご紹介します。

※出典:厚生労働省「平成29年度の年金額改定について」

アメリカで人気に火が付いた、好きなことを追求する自由な働き方

まず、「小商い」という働き方について説明します。文字通り「小さな商い」のことですが、ただの小規模商売ではありません。注目すべきは事業形態ではなく、働き方に息づく「理念」。自分の好きなこと・やりたいことを実現しながら生活に必要なお金を稼ぐ、社会や企業に束縛されない極めて自由な働き方です。

この働き方は、日本では認知され始めて10年も経たない新たな労働スタイルです。アメリカのポートランドで創業したクラフトビール醸造所や雑誌販売業など実店舗を開き、日々の生活を確保しつつ、手がける製品・サービスのクオリティ向上を追求する人々の姿がきっかけとなり注目を集めました。そして日本では、ポートランドのような実店舗での営業スタイルだけでなく、インターネットを活用した通信販売や車を活用した移動販売など、多彩な小商いのスタイルが存在しています。

「生活」と「やりたいこと」を両立させ、生涯続けられる仕事を見つけるための手段として、多くの人が小商いに期待をしています。

サラリーマンでもはじめられる「小商い」

小商いとひとくくりに言っても、扱われている物は食品や雑貨、家具などさまざまです。世の中の物事の大半を知っているように思えても、実際は知らないことばかりということが多々あります。

始めるなら、まず自分がやりたいことをイメージしましょう。そして、そのやりたいことが小商いとして成立するのか、情報収集をしたり、分析をしたりして検討します。
例えば「本屋さんをやりたい」ということであれば、どうやって本を仕入れるのか、そしてどうやって売っていくのか? 他の本屋さんと差別化はどうするかなど、深く考えていく必要があります。

もちろん、たまたま場所があるから本屋さんを始めてみよう、というのも悪くありません。実際にやってみて、改善をしていくのも小商いの醍醐味です。

日本では所得を得た場合には所得税を納めるのが義務です。副業などで得た収益も課税対象になります。会社員などの給与所得者の場合、年間を通じて雑所得が20万円以下の場合などの条件を満たした場合に適用される特例の「申告不要」という制度があります。逆に、必要経費を引いた所得金額が20万円を超えたら確定申告が必要になります。

現在、変わりつつあるとはいえ、多くの企業は就業規則で副業を禁止しています。規則があるのに、副業を無届けの状態で会社に知られてしまうと、就業規則違反になります。税金面での対応を行い、会社の就業規則に注意しておけば、会社員でも副業を始めることはできます。

老後に本格的にスタートさせるために、今は準備期間ととらえて、まずは週末だけのスタートでもいいかもしれません。実際にやってみることで、自分に合うか、合わないかもわかってきます。きっかけづくりになるはずです。

事例に学ぶ|小商い成功のヒントは「地方」にあり。

千葉県の房総半島南西部に位置する通称「房総いすみ地域」は、自然発生的に小商いを本業とする人々が集まった地域で、各所で開かれるマーケットには地域外からも多く人が訪れています。展開されている小商いの種類はコーヒーやアクセサリー、靴など多彩で、各事業者はこだわりをもって製品づくりに取り組んでいます。

小商いを行っているのは30~40代の移住者が中心。ものづくりや販売経験の有無を問わず、それぞれがチャレンジ精神をもって小商いを楽しんでいます。商圏としてもとても魅力的で、房総いすみ地域ではおよそ10のマーケットが定期的に開催されていることから、安定して販売の機会を得られるといえます。こうした場所に足を運んでみるのもいいのではないでしょうか? すでに小商いをしている人たちと仲良くなれば、様々なノウハウを教えてもらえるかもしれません。

また、鳥取県智頭町のカフェ「タルマーリー」は、自然の中に生息する野生の菌や酵母を使ったパンやクラフトビールを提供する人気店です。房総いすみ地域で創業した後、「菌がよりよく育つ環境」を求めた末、同地域に移住しました。まさに、自身のこだわりを追求する小商いです。

店主の渡邉格さんは東京・横浜のベーカリーショップで修行した後、35歳の時に独立を決意。妻・麻里子さんと共に千葉県いすみ市に移住しタルマーリーを開業しました。渡邉さんが小商いに踏み出すきっかけとなったのは、40歳に近づきつつあった頃のこと。体力的な不安の少ない30代のうちに開業しようと決意したと渡邉さんは言います。このように30〜40代で第二の人生を歩むケースも多く見られます。

開業に際しては、購入した古民家の改装費、パン用オーブンやミキサーなどの機材、水道光熱設備の整備、開業準備中の生活費などが必要でした。かかった初期費用はおよそ500万円。渡邉さんは、開業できたのは将来を見据えて計画的にコツコツと貯金してきたおかげと振り返ります。

 

鳥取県智頭町のカフェ「タルマーリー」

 

鳥取県智頭町のカフェ「タルマーリー」photo by Kazue Kawase

小商いの実践には「夢」と「堅実性」のバランスが大事

日本でも目立ち始めた小商いというワークスタイル。時間に縛られることなく自身のやりたいことで生活できる魅力的な働き方ですが、楽観的な希望だけではなかなかうまくいきません。会社員であれば、まずは自分が何をしたいのか、そしてそれは実際にできるのかを考える必要があります。資金のこと、税金のこと、副業のこと、就業規則のことなどを検討し、準備を進めることから始めてみてはいかがでしょうか? 豊かな老後生活につながる働き方だからこそ、若いうちから楽しみながら小商いに挑戦し、蓄積したノウハウを活かして末永い人生の愉しみにしていきましょう。

 

関連記事

Posted: Feburary 2, 2018