メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.10.6この記事の所要時間:約7分

「脳の学校」加藤俊徳先生が語る、50歳以降に脳を発達させる方法。

多くの人に脳の知識や脳の育て方を知ってもらおうと「脳の学校」を創設し、脳を成長させる方法を伝えている加藤先生。その研究には、寿命が延びた現代人にとって希望がありました。

50歳から始まる第2の人生。意識次第で脳はまだまだ成長する

「日本人の平均寿命は延びていますが、ここ50年で100歳以上の人たちが何倍に増えたかご存知ですか? なんと400倍です。1963年には全国で100歳以上は153人でしたが、2017年では6万7000人を超えています」と加藤先生。 

 

100歳以上の高齢者人口の推移

 

「ですが、私たちには100年を生きる設計図がありません。学校では、長生きするための教育は受けてきませんでした。長寿になった現代では『人生は2度ある』50歳になったらゼロリセットして始める」と考えた方が良い」と力説します。

 

加藤 俊徳 先生

 

「脳の学校」加藤俊徳先生

「私は、もともと脳という物は0~30歳は脳の準備期間で、31~50歳が個人脳の形成期、つまり、仕事、恋愛、結婚という体験を経て『自分はこういう人だ』と理解する期間だと捉えています。そして、51~80歳は2度目の人生の始まりで、社会とのかかわりを客観的に考える社会脳の形成期、81歳以降は自分の人生を後世に伝える時期です」と、加藤先生は年齢による脳の働きを解説します。

さらに脳の老化について「脳の老化は40~50代からゆっくり始まりますが、認知症になる人も居れば、脳が成長する人も居ます。人は40~50代を境に老化のベクトルが強くなり、脳が十分に使われないと老化していき、ある一定の線を超えて低下すると認知症になってしまいます。一方で、積極的に意識して脳を使うことで、脳はどんどん発達し、成長していきます」と続けます。

その一つの例として、加藤先生はご自身の著書でも用いたある男性の49歳の時の脳と52歳になった時の脳の写真を見せてくれました。

 

49歳と52歳の脳の比較

 

左脳の前頭葉部分(伝達系脳番地)が3年で大きく成長、
左右のバランスがとても良くなっていることがわかる。

出典:「記憶力を鍛える方法」加藤俊徳著 PHP文庫より引用

3年間、脳を積極的に使ってきた結果、左脳の前頭葉部分を見ると、52歳の写真では黒い枝のような部分が増えているのが確認できます。加藤先生のお話によると、これは左脳が育ってきている証拠だそうです。「脳が成長すると、思っていることを人に説明できるようになったり、言われる前にテキパキ行動できたりと体の動きが変わってきます。年齢に関係なく、脳は意識することで成長し続ける器官ということになる」と脳の成長による行動の変化を加藤先生は説明してくれました。

「家事」と「欲求」が脳を刺激する!?

100歳以上の人口は、1990~2000年代に入って急速に増加して、しかも女性の伸び率が圧倒的。100歳以上の10人に9人は女性だそうです。

加藤先生はなぜこのような男女差が生まれるかを10年以上探求してきた結果、おそらく以下の2つの要素があると結論を出しました。

◆1つは「家事」。

加藤先生が指摘した1つ目の要素は家事。「あくまで一例ですが、50歳前後、男性は役職につき、自分が動くよりも管理することが多くなり、また、会社から帰宅しても家事を行うことはほとんどありません。仕事のバリエーションが少なく、パターン化しがち」とのこと。

「一方、女性は仕事以外に、家事、育児、夫の面倒(笑)、自分の面倒など、家でいろいろな仕事をこなさないといけない。それも、結婚してからずっと、長い期間続けてきています。たとえ、女性が定年で仕事を辞めたからといっても、家にいればさまざまな仕事が残っている」と加藤先生は言います。

それが脳にとってよい刺激。刺激があることが、脳が衰えない原因の1つだそうです。最近では、家事や育児をやる男性も増えてきたので、もしかしたら将来的には変化がでてくるかもしれません。

◆もう1つは「欲求」。

さらに加藤先生が2つ目に挙げた要素は欲求です。「多くの人たちが欲求は悪いものだと思っていますが、脳自体は欲求で動いています。食欲、睡眠欲、性欲、名誉欲、自己顕示欲、独占欲など。欲求があるから、好奇心を持って行動し、脳に刺激を与える」とのこと。

「男性は40代後半から欲求欠乏となる傾向がありますが、女性の方はもともと『もっと~~したい』という欲求にあふれてくる傾向があります。この違いが、脳にとっての大きな違いです」と、性別による違いも指摘します。

欲求欠乏の男性の場合、“自分の本当の欲求は何だろう?”と分析し、欲求を良い方向へと持っていくようにコントロールすることで、脳への刺激が増えるそうです。いくら欲求が良いといっても、例えば毎日、多額のお金をギャンブルにつぎ込むような生活では破たんしますので、何を選ぶかはもちろん大事です。一方、女性はたくさん存在する自分の欲求を整理する必要があるとのことです。

加藤先生からは「この『家事』と『欲求』を上手に活用することで、50歳以降の50年が変わってきますよ」と前向きな言葉をいただきました。

「今までやったことがないこと」が脳と人生を活性化させる

では、50歳以降、具体的にはどうやって刺激を与えていけばいいのでしょう?

「50歳前後で新しいチャレンジをすること、今までの人生でやったことがないことをすることです。脳に働きかけるよう、積極的に生活に面白さをプラスしましょう」と加藤先生。

加藤先生の周囲では、こんな例があります。

80歳の会社経営者の方にドラムをたたくことを勧めたところ、今まで音楽や楽器演奏などの経験がなかった人でしたが、ドラムをたたき始めました。すると、ドラムを始める前と後のMRI検査で、脳が成長していることがわかったそうです。しかも7歳から8歳へ成長するときの伸び率と同じくらいだったとか。 

この結果を受け「個人差はもちろんありますが、脳は柔軟性に満ちていて、かつ変化・成長できるもの。年齢に関係なく、脳は努力で変えられるのです」と加藤先生。

さらに成長のポイントとして「人と競い合ったり、比較したりとほかの人より優れることを意識するのではなく、自分の中での能力アップに意識を向けること。この刺激が脳を発達させていきます。ほかの人との比較だけでは、環境依存につながりやすいので、あまりお勧めしません。音楽以外に華道や茶道、ダンス、料理、英会話なども良いですね」とアドバイスをくれました。

ですが、そのような趣味の分野へは気が進まないなら、どうしたらよいでしょう?

「その場合、朝の掃除など町内のボランティア活動もお勧めです。自分が指示するにしても、周りの状況に合わせて臨機応変に対応するにしても、自分の主体的な判断が必要とされます。予想もしないようなゴミがあったり、どう動けばよいかを判断したりなど新鮮な体験ができるはず。その状況に脳を対応させていくことが大事なのです」と加藤先生はボランティア活動を特に勧めています。

 

ボランティア活動のイメージ

 

加藤先生は特にボランティア活動を勧める

加藤先生によると、新しいチャレンジをせずに、同じパターンを繰り返す生活になっていると、脳が固まってしまうそう。同じパターンの動きを繰り返し、昨日やったことしかできない、例えば3度の食事とテレビを見るだけの生活をし続けるという悪循環に陥ることが良くないといいます。

「考えて動くことを侮らないでほしい」と加藤先生は強調します。

「また、アルツハイマー協会国際会議2017(Alzheimer's Association International Conference; AAIC 2017)でも孤立の問題が指摘されており、私も『脱孤立化』が大切だと思っています。孤立すると、人間は脳が働かず劣化し、認知症が進みやすくなります。周囲に友達がいるかどうか、人との交流があるかないかで、その度合いが大きく違ってきます。できるだけ、40~50代から意識して孤立しないような人間関係をつくらないといけない」と続けます。

それは、どういうことでしょう? 

「ひきこもるのではなく積極的に外に出て人と交流すること、そして、人に喜ばれる人間になることが大事」と加藤先生。「50歳前後になったら、ぜひ、自分の行動を変える新しいチャレンジをお勧めします。

行動が変わると選択が変わり、今までのパターンが変わるので、使ってこなかった分野の脳が活性化します。認知症などを防ぐだけでなく、これから50年間の老後人生がより豊かに楽しくなっていくはずです」と新しいチャレンジをお勧めする理由も教えていただきました。

努力で老化を防ぐことができ、人生も豊かになる。

「100年生きる人生」へと変わってきた今、加藤先生のアドバイスは私たちの心強い指針となりますね。

<加藤俊徳先生のプロフィール>
新潟県生まれ。医師/医学博士/脳科学者。株式会社「脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長、昭和大学客員教授。日本・米国で胎児から100歳の高齢者まで延べ数万人に及ぶMRI脳画像を分析し、脳の成長原理を見いだした。脳の学校では、脳を一生元気に保って楽しく生きる新しい人生観や文化を創造することを目指し、脳の健康を保ち、能力を向上させるためのアドバイスやトレーニングを提供している。

 

加藤 俊徳 先生

 

加藤 俊徳 先生

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Posted: October 6, 2017