メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.11.17この記事の所要時間:約7分

声で指示するだけでタイマーを起動してくれる、声で指示するだけで明日の天気や気温を教えてくれる。そんな便利なアイテム「AIスピーカー」。TVCMでGoogle Homeの発売を知った人もいるかもしれませんね。LINEのClova WAVE、Amazon Echoも日本で発売されました。

便利なデバイスとして国内でも知られはじめたAIスピーカー。生活に根付き、もっと活用方法が増えれば、私たちの未来がもっとワクワクするかもしれない。そんな期待感は現実のものになるのでしょうか?

 

AIスピーカーがコミュニケーションを変える?

AIは「人工知能」の意味で、AIスピーカーとは「人工知能を搭載したスピーカー」です。それも間違いではありませんが、核となっているシステムは、搭載されているクラウドにつながれたAIエージェントなのです。

現在は音楽を流す、問いかけに音声で返答するといった機能に特化しているのでスピーカーの形をしていますが、本質は音声入力で最適な答えを返してくれる技術。そのため「AIアシスタントである AmazonのALEXA(アレクサ)」が搭載されている「AIスピーカーのAmazon Echo」という言い方をします。

 

音声入力が恥ずかしい「20〜40代」。積極的に使う「10代」「60代」

今の20〜40代の多くはパソコンのキーボードに慣れ親しんでいます。この入力方法が音声入力に変わることもあるのでしょうか。デジタルマーケティングを行う株式会社IMJのR&D室「すまのべ!」で、ガジェットやロボットについての研究開発をしている加茂春菜さんと田野哲也さんは「精度が上がっていくことで、音声入力がさらに便利になることは想定できますが、完全に置き換わることはなさそう」と話します。「音声入力の精度が上がったとしても、電車などの音声入力ができないシーンや、直接タイピングした方が効率が良いシーンはなくなりません。コピー&ペーストなどの便利な機能もありますので、時と場合によってはわざわざ音声入力をすることで余計なコストがかかることはありますよね」

しかし会話などのコミュニケーションでは、多少言い間違いやニュアンスが変わったとしても通じればOKと考えます。技術が進歩することで便利さは増しますが、それを扱うのは私たち人間です。前出の加茂さんは次のように話します。

「音声入力など新しいインタフェースに関しては、我々20〜40代のテクノロジーを積極的に使っている層が取り残される可能性があります。まだ平仮名もわからない小さい子どもが、音声入力でLINEを送っていたり、キーボードやタッチパネルでの入力に慣れ親しんでこなかった年配の方がSiriに質問して答えてもらっていたりと、自然に使いこなしていたりするんですよね。音声はナチュラルなコミュニケーションなので、浸透も速いのです。私たち世代はまだまだ、人前で音声入力をするのが恥ずかしいと思っている方が多いのではないでしょうか」

 

IMJのR&D室「すまのべ!」の加茂春菜さん 「20〜40代が取り残される可能性がある」という加茂さん

 

KDDIが行った「日本人の音声操作に対する意識調査2017」では日本人の7割が人前で音声検索をするのは恥ずかしいと感じている、という結果がでています。注目したいのは、ここでも世代差があるということ。10代は自宅でも外出先でも、音声操作や音声検索を積極的に利用しています。また60代男性の4割半は、ハンズフリー通話を気にしないと答えています。一方で、30代女性の8割は音声検索を「恥ずかしい」と感じていて、世代によって音声検索への抵抗感が大きく異なることがわかります。

 

AIが家とつながる時代がもうすぐやってくるのでは

AIスピーカーなどを通じて、人は家ともつながりはじめます。今はまだ部屋の電気をつけたり、エアコンをつけたりといった遠隔リモコン的な機能が多いですが、この先にはもっと別の何かがあるでしょう。例えば自分自身の生活を人ではなくAIが常時見守ってくれるようになるかもしれません。体の健康状態だけでなく、自分の預貯金や生活費をベースに、AIがスピーカーやメールなどを通じて、家計や暮らしのアドバイスをしてくれるような未来もそう遠くはなさそうです。

すでにAmazonでは、「Amazon Dash Button」という、ボタンを押したらインターネットを通じて商品をすぐに届けるというアナログとデジタルの融合のようなインタフェースをサービスとして提供しています。こうした機能はこれから先、冷蔵庫やテレビなどの家電だけではなく、ドアや椅子、テーブルなどにも付いてくることが予想されます。そして、薬やサプリなどについても管理してくれるようになるでしょう。

例えば、自分の健康状態を調べたら筋肉が減少している、というデータが出たとします。その場合、筋肉量を上げるための食事メニューを提案をしてくれたりするのはもちろん、運動を促してくれたりするといったこともできるでしょう。「サルコペニア(筋力低下/身体機能低下)」や「フレイル(体がストレスに弱くなっている状態)」は発症してから治すのではなく、発症する前に防ぐことが重要になってきます。しかし、予防のためのコントロールを自分で行っていくのは容易ではありません。AIが自分自身の健康状態を見ていてくれるようになれば、その時の自分にとって最適な一日の過ごし方を提案してくれ、誰でも簡単に予防につながる生活ができるようになるかもしれません。

導電性繊維の開発をする京都府精華町にあるミツフジは、2016年にシャツ型のウェアラブル端末を発売しました。これは胸の部分に導電性繊維を縫い込み、身に着けた人の心拍数や心電図のデータを計測し、体調の異変や病気の兆候の察知に役立てるというもの。伸縮性のあるニット生地に、同社開発の糸の表面に銀のメッキを施した導電性繊維を縫い込んであります。これを心電計の電極変わりにして、胸の部分の直径5センチ程度の電子機器に生体データを取り込み、外部サーバーへ送る仕組みです。

こうした「体のトラッキング」ともいうべきデータは膨大で、人が処理をするのは大変です。しかしAIなどを用いてデータ解析と提案が自動で行われるようになれば、病気などのリスクを低減することが可能になるかもしれません。

 

長年連れ添ったパートナーやかかりつけ医のような存在へ

今はAIスピーカーという媒介を通じて人は声でAIと話していますが、このスピーカーはAppleのAirPodsのようなイヤホンタイプも登場するでしょう。そうすると、据え置き型ではなく、常に持ち歩けるものへと変わります。

このイヤホンがインターネットとつながるようになれば(現にAppleのApple Watch 3は、単体で通話ができるようになっています)、多くの新しいコミュニケーションが生まれます。

例えば、行きたい場所へのナビゲーションをしてくれる。
例えば、友人たちが集まっている場所を教えてくれる。
例えば、体調が悪くなったら休憩を促したり、アラートを出したりする——。

まるでいつも寄り添ってくれるパートナーやかかりつけ医のように、AIがあなたの人生をサポートしてくれるようになるでしょう。普段からこういったサポートを受けるために、今まではさまざまなサービスを利用する必要がありましたが、その役割を担うのがAIであれば、人的コストがない分、低価格でこうしたサポートを享受できます。

また、離れて暮らす家族との会話やコミュニケーションも円滑になります。電話をかけたいと思っても、お互いのタイミングが合わなくてつながらず、悲しい思いをすることもありますよね。こんな時、AIが先んじて家族のスケジュールを把握していれば、双方が一番リラックスしている時間に電話などを通じてコミュニケーションすることが可能になります。

 

声でAIとつながることでコミュニケーションが変わる

音声入力アシスタントはコミュニケーションを変えます。例えばLINEのAIスピーカーであるClova WAVEの場合、設定をしておいて「お母さん、あとはClova!って話しかければメッセージ送れるから」と教えておけば、年配の母とメッセージのやりとりができる状態になります。

音声入力は高齢者やキーボード、タッチパネルに慣れない層のコミュニケーションハードルを下げました。これは、若年層にも言えることで、現在の若年層はキーボードよりもタッチパネルを好んで操作します。それと同じように次の世代は音声による操作が主になってくるかもしれません。

このコミュニケーションがさらに進化すれば、離れた場所で人と人との「約束事」なども円滑にできるようになるでしょう。田野さんも「LINEはグループで使えますよね。そこに友達の1人のような感覚でグループにAIが入ってくれて、今後の予定を話しているときにAIが提案してくれたり、グループ内で『これ良いんじゃないの?』と意見を言ってくれたりするんです。旅行計画でしたら、それぞれの意見をとりまとめてくれたり、旅行の予約までお願いできたりしたら最高ですね。言いたいことを言うだけで、あとはAIがなんとかしてくれる」とAIの可能性について話します。

 

IMJのR&D室「すまのべ!」の田野哲也さん 「AIがコミュニケーションを進化させる」と語る田野さん

 

今、みなさんの目の前に登場したAIスピーカーはあくまでもひとつの形であり、中身の音声認識アシスタントは日々進化し続けています。車椅子や白杖がAIとつながれば、安全なルートを示してくれる。おばあちゃんのカートなら、今日必要な買うものを都度教えてくれる。そんな未来はすぐそこまで来ているように感じます。

 

 

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Posted: November 17, 2017