メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2018.1.26この記事の所要時間:約5分

体を支えるだけではない! 骨は臓器のメッセンジャー

「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか? 日常的に医療や介護に依存しない自立した期間のことです。寝たきりになるのではなく、健康的に生き生きと過ごせる期間を長くしたい。それが多くの人の願いでしょう。

今回は「筋肉」の健康維持についての記事と同様に「骨」の健康に関して、予防医学やアンチエイジングに詳しい医師の阿保義久先生にお話を伺いました。

「健康寿命を延ばすためには骨、筋肉など運動器の健康が重要であると言われています。最近、内臓脂肪が溜まることによる様々なトラブルが起きるメタボリックシンドロームとは別に、『ロコモティブシンドローム』が話題になっています。略して『ロコモ』と呼びますが、『筋肉や骨、関節などの運動器の障害による移動機能が低下した状態』を指します。ロコモが進行すると歩けない、立ち上がれない状態になり、日常生活に支障を及ぼすため、骨や筋肉など骨格の維持の重要性が高まってきました」

阿保先生は、最近、骨の大切さがフォーカスされてきていると話します。

 

ロコモティブシンドロームの説明

 

骨の健康というと、すぐに思い出す単語は「骨粗しょう症」でしょう。年齢とともに骨はどのように変化するのか、気になるところです。

「骨のアンチエイジングは極めて重要なんですよ。健康な人でも、骨量(骨密度)は30〜40代がピークで、その後、減っていきます。この図のように、男性はジワジワと減りますが、女性は閉経後、ガクンと落ちるように減ります」と阿保先生は表を見せながら説明してくれました。

 

男性と女性の年代による骨量の変化。阿保先生ご提供資料を基に作成 阿保先生ご提供資料を基に作成

 

表を見ると男女ともに骨量が減っていきますが、50代以降の女性については減り方の度合いが大きいことがわかります。骨量に関して骨粗しょう症以外で、気にすべき点があるか阿保先生に聞いてみました。

「実は、骨は重要な内臓臓器の一つです。私たち医師が一番重要視しているのは、骨の造血機能。骨の中心部にある骨髄が造血器として白血球、赤血球、血小板などの血液を作っています。あまり意識されていませんが、骨髄なしに血液は作れません。だから、骨髄の機能が低下しないよう注意する必要があります」

骨が臓器の一部であるのは意外ですが、さらに他の臓器との密接なかかわりもあるそうです。そのことについて詳しく聞きました。

「骨の臓器としてのもう一つの役割は、いろんな臓器と密接にメッセージを出し合っていること。サイトカインと呼ばれるタンパク質で膵臓、肺、胸腺などと情報交換をしながら、恒常性を維持しています。骨は頭から足まで全身にありますので、他の臓器と情報交換をするというのは体にとって合理的。骨は生命活動のメッセンジャーとして、全身で情報のやり取りをしているのです」

骨は単に骨格として体を支えているだけではなく、臓器としての一面もあるようです。血管や神経と同じく全身のネットワークにつながり、内臓の一つとして全身とかかわっているそうです。

 

骨に必要なのは、カルシウムだけではない

では、骨の健康を保つにはどのような食事をしたらよいのでしょう? 意識して摂るべき栄養素を教えていただきました。

「骨はカルシウムが重要というのはよく知られていますが、それに劣らず実はマグネシウムも重要。どんなにカルシウムを摂取しても、マグネシウムがないとカルシウムは吸収されないのです。だから、カルシウムの多い牛乳だけを飲んでいればいいのではなく、マグネシウムも意識して摂る必要がありますね」と、マグネシウムの重要性を挙げた上で、次のように阿保先生は続けます。

「他に大事なのはビタミンD、ビタミンK、ビタミンC。ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を一定に調整しますし、ビタミンKは骨の吸収を司るオステオカルシンというタンパク質の活性を高めます。ビタミンCは骨密度を高め、骨の質を改善します。また、骨の質にかかわってくるコラーゲンのコンディションをよくする性質もあります」さらに阿保先生は、骨に必要な栄養素を挙げてくれます。

「それから、ビタミンB群や葉酸も重要です。動脈硬化を引き起こす要因に血液中のホモシステインという物質があります。ホモシステインの濃度が上がりすぎると骨の質も悪化します。そのホモシステインを高めすぎないようにするのがビタミンB群や葉酸です」

骨の形成にとってよい栄養素を多く含む食材を阿保先生に聞き、以下の表にまとめました。カルシウムだけでなく、どれもバランスよく摂ることが大事だそうです。

 

阿保先生がおすすめする食材 阿保先生がおすすめする食材

 

「それから、日光浴をするとビタミンDの活性を高めます。日光というと、紫外線の影響が気になりますが、わざわざ直射日光に当たりに行かなくてもよいのです。皮膚に日焼け止めをつけていても、服の上からでも日光が吸収されますので、屋外をしっかり移動することを意識するとよいですね」と阿保先生は手軽にできる習慣を教えてくれました。

 

骨に刺激を与えることで、骨は強くなる!

それでは、運動で骨は鍛えられるのでしょうか。忙しくてなかなか時間が取れないサラリーマンでもできる運動を阿保先生に教えてもらいました。

「家でできる『骨を鍛える運動』がありますよ。それは、かかとの上げ下げです。
立った状態でかかとを上げて、地面にかかとを落とす……というのを20~30回繰り返すだけです。このときに、かかとをコツンと床に当てるようにすることが大事。骨に刺激を与えることで、骨密度が高まります」

意外ですが、骨に刺激を与えると骨が強くなるそうです。また、立って行うのが困難な場合は、椅子に座った状態でかかとの上げ下げを行っても効果があるそうです。これなら、高齢者の方でも取り組みやすそうですね。

普段から食事に気を遣い、意識的に運動を行うことで骨は強くなります。毎日の小さな積み重ねが老後の健康へとつながっていきます。日々の食事や運動など、生活を改善し豊かな老後へ備えていきましょう。

 

阿保義久先生

 

<阿保義久先生プロフィール>
青森県生まれ。北青山Dクリニック院長。東京大学医学部腫瘍外科・血管外科非常勤講師。
早稲田大学理工学部に進学するが、在籍中に医師を生涯の職業にすると決意。東京大学理科三類(医学部医学科進学課程)を再受験する。医学部卒業後、東大医学部附属病院第一外科、虎ノ門病院麻酔科などを経て、2000年北青山Dクリニックを設立。外科医としてのスキルを活かして「日帰り手術」「予防医学」「アンチエイジング」を3本柱に、質の高い医療サービスを提供し、トータルな健康管理をサポートしている。著書は『アンチ・エイジング革命』(講談社)など。

 

 

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Posted: January 26, 2018