メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.11.2この記事の所要時間:約4分

 

糖尿病や認知症と深く関わる歯の健康状態

歯の調子が悪いなと感じても「まだいいかな」と、ついつい受診を先延ばしにしがちな歯科医院。しかし、歯科を受診することにより、虫歯や歯周病以外の病気が見つかることもあるのです。

その筆頭が糖尿病。糖尿病のサインとして歯肉が腫れたり、「口や喉が渇く」症状により歯垢がたまったりするなど、口周りに変化が現れます。日本糖尿病学会が定める「糖尿病診療ガイドライン2016」においても、歯周病が血糖コントロールに影響を及ぼすなど、糖尿病と歯周病の密接な関連が指摘されています。

また、認知症予防を考える上でも、歯の健康状態は重要なポイントです。厚生労働省研究班の研究によると、65歳以上の高齢者のうち、歯がほとんど残っておらず、義歯も使用していない人は、20本以上歯が残っている人にくらべて、認知症発症のリスクが約1.9倍も高くなることが判明しています(※1)。また、日本大学歯学部落合邦康特任教授の研究チームが2018年に発表した研究では、歯周病の原因菌が作り出す特定の物質が脳内に取り込まれ、アルツハイマー病発症の一因となる可能性が指摘されています(※2)。

舌がんを3回も発見。実際に“町の歯医者さん”が見つけた病気と対処法

では、実際に“町の歯医者さん”はどのような病気に気づき、どう対応されているのでしょうか。高齢者歯科に精通し、訪問診療など地域に根ざした医療を提供している、歯科医の小倉洋一郎先生(小倉歯科医院)にお話を聞きました。

小倉先生は、約25年の歯科医生活の中で「舌がんを3回見つけたことがある」といいます。「歯科検診では多くの病気が見つかることがあります。まず注意をしているのは舌がん。その他にも、口の渇きから更年期障害や糖尿病、会話や行動から認知症に気付くことがあります」

小倉先生がなんらかの病気の可能性に気付いた場合は、その病気と関連する内科等の医療機関と連携し、患者さんに受診を促しています。また、認知症が疑われた際には「次回はご家族と一緒に来院して欲しい」と伝えることもあるそうです。歯科医は歯の病気だけではなく、全身の健康管理の窓口として、大きな役割を担っているのですね。

歯科検診の受診風景 「過去に一度でも歯科治療をしたことがある方は、歯科検診を受診して欲しい」(小倉先生)

 

小倉先生は、さらに歯科検診の重要性を強調します。「患者さん自身が『歯の調子が悪い』と自覚する段階になると、歯周病や虫歯はかなり進行しています。しかし、歯科検診を定期的に受けていれば、もっと軽い段階で気付くことができます。また、過去に一度でも歯を治療したことがある方には、特に受診をすすめています。たとえば小さくても金属の詰め物がある場合、自分の歯が年とともにすり減っていく半面、金属はすり減りにくく、結果として、かみ合わせが悪くなることもあります。そうして、受診時に、顎関節症やそれと関係して頭痛の問題に気が付くこともあるのです」

歯科医院は、私たちにとって一番身近な“お医者さん”です。「まずは話をするだけのつもりで気軽に訪れてみてください。特に何年も歯科を受診されていないという方は、是非すぐにでも。たとえば、すでに歯周病にかかっていたとしても治療とメンテナンスで進行を遅らせることができますよ。歯科医院はたくさんありますから、自分に合うところを探してみるとよいでしょう」と小倉先生。

好きな物を食べ、大きく口を開けて心の底から笑う手助けをしてくれる。時には病気を見つける手がかりとなる。そんな身近な歯医者さんこそが、いつまでも明るく元気に過ごすためのキーポイントとなるようですね。小倉先生は「ご高齢でも健康な歯を維持している方はたくさんいらっしゃいますよ。若いうちからメンテナンスを行っていれば、年を重ねてもしっかりした歯を残すことができるんです。歯が健康だと何でもおいしく食べられるし、毎日元気に笑えるから老後のQOL(=Quality of Life, 生活の質)がグンと向上しますよ」と話します。

将来の健康作りと笑顔のある暮らしを見据えて、まずは“かかりつけの歯医者さん”を探して歯科検診を受けてみてはいかがでしょうか。

 

取材協力: 小倉洋一郎先生(小倉歯科医院/神奈川県茅ヶ崎市) 1967年生まれ。日本歯科大学新潟歯学部卒業(1994年)後、同大学高齢者歯科診療科研究生、総合病院勤務などを経て小倉歯科医院を開業(2010年)。
小倉歯科医院:http://www.shonan-sh.jp/shop/ogurasika

 

※1 出典:小坂健(東北大学大学院歯学研究科教授)「口腔の状態・機能、かかりつけ歯科医院の有無の心がけと認知症発症を伴う要介護認定との関係:AGESコホートデータによる分析」/厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究事業「介護保険の総合的政策評価ベンチマークシステムの開発」研究代表者=近藤 克則(日本福祉大学 健康社会研究センター).H22年度総括研究報告書
厚生労働科学研究成果データベース閲覧システム(2017年10月13日に利用)
※2 参考:Front Immunol. 2018 Jun

*記載の情報は2017年11月2日時点のものです。
*取材対象者のコメント、内容は個人の見解であり、当社の公式見解ではありません。また、その正確性を当社が保証するものでもありません。

 

 
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