メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2018.9.28この記事の所要時間:約6分

日本は金融教育が諸外国と比べて足りていないといわれています。しかし、具体的にはどうしたらいいのでしょうか? 忙しい毎日の中でお金について学ぶ時間はなかなかとりづらいかもしれません。そこで「#老後を変える」では、ファイナンシャルリサーチ代表でファイナンシャルプランナーの深野康彦さんによる連載をスタートします。第1回目は「己を知る」ということ。そして「お金をかまってあげる」ことについてです。

変化に制度が追いつかない。だから自分が動かなきゃ。

日本の社会保障制度の基礎である国民皆保険・皆年金制度が設立されたのは1961年。このような制度は他国ではあまり例がありません。アメリカなどの例を見てもわかるでしょう。この制度のおかげで、日本は所得格差の広がりを防ぎ、成長してきたといっても過言ではありません。

 

日本の情勢に触れる深野さん 日本の情勢に触れる深野さん

 

しかし、制度が生まれて57年、日本の社会情勢は大きく変化しました。高齢社会、少子化などさまざまな課題が生まれてきました。平均寿命も、1961年当時は男性66.03歳、女性70.79歳でしたが、2017年には男性81.09歳、女性87.26歳となっています。国民年金の支払いは制度発足当初から65歳からですから、当時は平均寿命に近い時期から支払いが開始される仕組みでした。長い時を経て、人類や社会に変化が起きた今、当時の社会保障制度に支障をきたすのは仕方のないことかもしれません。

社会情勢だけでなく、経済環境も著しく変動しています。1961年の物価と今を比べても明らかです。当時の大卒、公務員の初任給は12,900円。牛乳は15円、うどんは32円、国鉄の初乗りが2円75銭、映画館は134円、1ヵ月の新聞購読料は390円でした。57年の間に、どれだけ物価が上がっているかがわかる内容ですね。

これらの変化が起きた結果、政府は「貯蓄から投資へ」を推進するように、NISAやiDeCoなどの個人での運用を前提とした、いくつかの制度を開始しています。なぜでしょうか? その理由は、「極端な話、国はこれからの時代は今までと同じように手厚い社会保障はできそうにないので、規制を緩和したり制度を用意する代わりに、自分たちで考えて動いてね」と言っているのです。

40代までの方は、2008年に起きたリーマン・ショックの衝撃を直接的には受けていないかもしれません。私は今50代なので、リーマン・ショックの被害は甚大でした。次々と仕事の契約が切られて「どうしようか」と途方に暮れたのを思い出します。

20代、30代と比べて40代ともなると、収入も高くなり、不況になった場合はリストラの対象になりやすいです。10年前は当事者でなかったかもしれませんが、今40代の方は何かが起きたときに真っ先にリストラなどの対象になる年代だということを意識する必要があります。

生涯年収は「右肩上がり型」の直線から「山型」の曲線へ

簡単に言うと、私たちは65歳になるまで公的年金は受け取れません。支給開始の65歳に対して、一般的な企業の定年退職は60歳。再雇用されたとしても、その報酬は激減します。定年退職前の3〜4割減、中には6割減といったケースも耳にします。

ここで気をつけてほしいのが「定年退職前の収入」です。かつては定年退職前がもっとも収入が高い「右肩上がり」直線でしたが、現在は公務員を除くと一般的に収入のピークは50歳前後です。つまり、50歳前後を境に収入が減少していき、その最後の収入を再雇用でさらに削られてしまうので、生涯の収入ラインは「山型」の曲線になるのです。

 

性、年齢階級別賃金(正社員) 出典:平成29年 厚生労働省「賃金構造基本統計調査 結果の概況」を基に作成

 

40歳であれば、これからの10年が収入を伸ばす期間。その後は下がっていくことを意識して、人生設計しなくてはなりません。具体的には何をするべきでしょうか?

人生後半戦を豊かに暮らすための最初のポイント

40代で最初にすべきことは、「己を知る」ということです。お金は自己実現のための手段の一つです。まずは、自分がどうありたいかが大事なのです。自己確立のためにお金があるということを認識しましょう。40歳といえば論語の「四十にして惑わず」とあるように、迷いがなくなる世代ともいわれていますが、実際は迷うことが多いのも事実。その中で、お金の面での迷いをなくす最初のテクニックをお教えしましょう。それは「お金をかまうこと」です。

 

お金は寂しがりやという深野さん お金は寂しがりやという深野さん

 

お金というのは寂しがり屋です。どういうことかというと、自分の収入や支出をしっかり見極めるということです。会社勤めでいると、給与明細は開封せずにためていたり、妻に渡すだけだったりという方も多いのではないでしょうか。
まずは「実際に年間で自分はどれだけのお金を稼いでいるのか」そして「そのお金から税金などがどれだけ引かれているのか」をしっかり書き出してみましょう。

次に、今の自分のお金だけでなく、将来自分がどういったお金を受け取れるのかを見直します。そもそも退職金はもらえるのか、もらえるならいくらなのか? こうしたことは会社の就業規則などにも掲載されています。面倒だと思っても、将来の自分のためにしっかり確認しましょう。

さらに、家計でかかっているお金をチェックしましょう。住宅ローンなどの借金はどのくらいあり、毎月どのくらい支払っているのか、例えば食費や光熱費などの生活費、お子さまがいる場合は学費、保険料など、家計簿を付けているのであれば、それを見ながら「どれだけお金が出ているのか」そして「節約できるところはないか」などを確認していきましょう。

「使途不明金」をあぶり出す

収入と支出を見直すと、必ず使途不明金が出てきます。例えば、家計簿を付けているのであれば雑費などに入っているもの。仕事の合間に買うコーヒーなども、こうした雑費に入ります。雑費とひとくくりにしてしまうと、何に使われているのかわかりづらく、使途不明金になりがちです。1杯100円のコーヒーでも、1日2回飲めば200円、5日で1000円、1ヵ月で4000円にもなります。

「己を知る」ということは、ここまで掘り下げることです。徹底的に調べることで「自分はここにこんなに無駄遣いをしていたのか」という発見につながります。

60代、70代、80代も働く時代。健康も意識していくこと

年をとれば、身体だけではなく脳も衰えていきます。人生100年といわれる今の時代は、定年後に年金をもらい隠居するのではなく、60代、70代、80代も働く時代ともいえます。年金などがそれほどもらえないのであれば、働いて稼ぐしかありません。そのためには老いても働ける心身であることが重要になります。将来の自分が元気でいるために、40代のうちから運動を積極的に行い、健康にも配慮した生活を心がける必要も出てきます。

ここまで聞くと「なんだか大変だな」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、習慣化させれば心身を充実させ、将来に対する不安もなく毎日を楽しく豊かに過ごせるようになります。お金について学ぶことのメリットは大です。

日本人は諸外国と比べて「お金の教育」を受けてきていません。次回は、お金の貯め方なども具体的にご説明していけたらと思います。最後に、次回までの宿題としてクイズを出させてください。

今から40年前、1978年の郵便局の定期預金の金利はいくらでしたでしょうか?
(現在の金利は0.010%、クイズの答えは次回記事にて)
出典:総務省統計局「日本の長期統計系列 主要金利水準」より

 

深野康彦さん

 

<深野康彦さんプロフィール>
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー。
1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴30年を誇る。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。BSジャパン「日経モーニングプラス」毎月1回出演。日経CNBC「夜エクスプレス」では水曜日のアンカーを担当。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。主な著書は『1万円から始めるETF投資』(日本経済新聞出版社)、『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。
新著は『55歳からはじめる、長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版)『本当は危ない あなたの毎月分配型投資信託』(ダイヤモンド社)など。

 

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Posted: September 28, 2018