メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2019.5.31この記事の所要時間:約6分

40年前は100万円を1年預けると47,500円儲かった

前回の記事ではお金に対して現状を把握する=己を知ることについて話しました。そして最後にクイズを出したのですが、覚えていらっしゃいますか? クイズの内容は「今から40年前、1978年の郵便局の定期預金の金利はいくらでしたでしょうか?」というものです。正解は、4.750%です。かつては100万円を1年間預けると47,500円殖えたわけです。現在の金利は0.01%ですから、100万円預けても100円にしかなりません。そこから税金が引かれるので、手元に残るのはそれよりも少なくなります。

 

1978年と現在の金利比較 1978年と現在の金利比較

 

そう考えると、100円も無駄にできないと思いませんか? 金利は下がっていることに加え、前回の記事で物価が上昇していることをご説明しました。私は仕事柄、いくつかの商品について、継続的に価格を調べています。そのひとつに、あるメーカーのインスタントコーヒーがあります。その商品は、スーパーなどで特売で売られる頻度が格段に減少し、特売価格になったとしても、消費税が5%から8%に引き上げられる前に比べて価格が高い上に、容量は100gから90gへと1割、足下では80gへと2割も減少しているのです。

ここで強調したいのは、私たちがニュースなどで見聞きする「消費者物価指数」は、量の減少による実質値上げはほとんど考慮されていない統計データだということ。実際には物価は今もなおじわじわ上がっているのです。価格はそれほど上げず、容量を少なくするなど、涙ぐましい企業努力は否定しませんが、物価の動向を判断する場合には、国が発表する経済統計よりも生活実感を優先すべきだと私は思っています。皆さまの生活実感ではいかがでしょうか。

物価が上昇すると、公的年金の支給額は実質的には減少していると考えられます。モノの価格は値上げされているのに支給額は変わらないのですから、支出増(購買力の低下)となるからです。こうした見えないインフレが私たちの老後の生活を脅かそうとしています。

どうしよう? 日本人はお金の教育を受けてきていない

日本人は、学校でお金の教育をほとんど受けていません。そのためか、日本人はお金についてバランス感覚が悪いようです。極端に倹約家であったり、極端にリスクをとったり。お金に対してマイナスにとらえすぎたり、プラスにとらえすぎたり。守りすぎの人は、死ぬまでお金を持っていようとしますし、攻めすぎの人は現役時代にお金を使いすぎる傾向にあります。

 

深野さん 日本人の金銭感覚について語る深野さん

 

ここで知っておいてほしいのは、死後にお金を残しても使えないということ、そして老後にお金を貯めることはできないということです。前者はどなたでもおわかりかと思いますが、後者については楽観的すぎる人が多いのも事実です。年をとれば、現在のように働くことはできなくなりますし、収入は減っていきます。それを知った上で、最初に行うべきことが、「足場をしっかり固めること」です。

前回の記事で「己を知る」ことを解説いたしましたが、その己を知る過程で年金の未納などはありませんでしたか? 老後は終身年金をどれだけ受け取れるかがまず基本です。そのとき、未納があれば支給額は減ります。働いている今のうちに未納分をしっかり納めて、満額受給できるようにしましょう。公的年金は死ぬまで受け取れるのですから、その権利はしっかり保持しましょう。

また、夫婦によっては共働きでそれぞれの稼ぎの全容を知らない場合があります。「どちらかが対策を練っている」と思って、無策のまま老いてしまうケースも少なくありませんので、夫婦で時間をとって「己を知る」作業をされることをお勧めします。

買い物には「NEEDS」と「WANTS」がある。少額から貯金習慣を身につける!

お金の原則は「年収」から生活に必要な「支出」を引いた額を全て貯蓄にまわすことです。簡単に聞こえますが、これを実行している人は本当に少ないです。例えば、仕事で忙しかったり、プライベートでストレスがあったりすると「自分にご褒美」として嗜好品を買ったり、旅に出かけたりしたりしませんか? また、先月はしっかり節約したから、今月は少し贅沢しよう、など心当たりはないでしょうか。

買い物には「NEEDS」と「WANTS」があります。「NEEDS」は必要なもの、「WANTS」は欲しいもの。WANTSの場合は、まず、本当に欲しいのか自問自答しましょう。さらに、自分がNEEDSだと思っているものの中にWANTSがないか、洗い出すことも忘れずにしてください。これは必要だと思っているものが、単なるWANTSの場合もあります。例えば、街で購入するコーヒーなどが例としてよく挙がります。そして、NEEDS以外のものを外して残ったお金をしっかり毎月貯蓄することが大切です。

貯蓄のコツは、少額で始めて継続させることです。私はこれを「3ム」と称しています。「3ム」とは以下の3つです。

1.ムリ
自分の支出(NEEDS)を削ってまでムリして貯金をしようとすると、3ヵ月くらいでつらくなります。そうなると貯金の習慣は身につきません。少なくてもムリのない額から始めましょう。

2.ムダ
普段使っている銀行ではない口座で貯金しようとしたり、ムダになってしまう準備に時間をかえる人もいらっしゃいます。しかし、金利もそれほど高くない以上、貯金に関しては、正直どこの銀行もほとんど差がありません。自分の使っている銀行口座で積み立て貯金をすれば、口座開設等の手間が省けます。

3.ムラ
先月は余ったから5万円、今月はきつかったから1万円といったように、毎月貯金する額にムラがあると貯金になりません。少なくてもいいので、毎月同じ額を貯金する習慣を身につけましょう。その上で、余裕があればその額を増やせばいいのです。

この「3ム」をベースに、10万でも100万でもいい、最初は目標額を達成することを目指しましょう。お金を貯めることができた達成感を持てるようになると、もっと上を目指そうと思えるはずです。こうやって「お金のスキル」は身銭を使うことで身についていくのです。

よく貯金は「年収の何パーセントすればいい?」という質問をする方がいらっしゃいますが、私はこの質問の答えに解決の糸口は無いと思っています。なぜなら、将来どのような生活をしたいかによって、貯めるべき金額は変わってくるからです。同じ年収の方が2人いても、その2人の将来設計が異なれば適した貯金の額も異なります。将来に必要なお金を貯めていくには、まずは前回も紹介した「己を知り」、今回紹介した「貯金習慣」を身につけることで、自らの足場を固めることができます。それを踏まえた上で、次回はいよいよ「お金を殖やす」方法について解説しようと思います。最後に前回と同様に、次回までの宿題としてクイズを出させてください。

今から40年前(1979年)、山手線の初乗り運賃はいくらだったでしょうか?

 

深野康彦さん

 

<深野康彦さんプロフィール>
1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴31年(2019年4月現在)を誇る。金融資産運用設計を研鑽して1996年に独立。現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。日経CNBC「夜エクスプレス」では水曜日のアンカーを担当。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。
主な著書:
『1万円から始めるETF投資』(日本経済新聞出版社)
『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版)  
『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』(ダイヤモンド社)など多数

 

*記載の情報は2019年5月31日時点のものです。
*取材対象者のコメント、内容は個人の見解であり、当社の公式見解ではありません。また、その正確性を当社が保証するものでもありません。

 

 
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