メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2019.7.12この記事の所要時間:約7分

 

時間を味方にすることで収益が期待できる「投資」と「リスク」

お金は自己実現のための手段の一つです。そのために前回までの記事では、お金について現状を把握し収入と支出を知ることと、貯蓄習慣を身に付けることについて話しました。今回は、そのお金を殖やす方法について考えていきましょう。さて前回は最後にこんなクイズを出させていただきました。「今から40年前(1979年)、山手線の初乗り運賃はいくらだったでしょうか?」。

正解は80円。2019年現在の山手線の初乗り運賃は140円(IC運賃は133円)となっています。40年という時間の経過で、日本国内の物価は大幅に上昇したと言えそうです。

お金を殖やす手段の一つに「投資」があります。

例えば、ある銀行に定期預金で10年間100万円を預けたとしましょう。金利は現在0.010%ですから100円しか殖えません。さらに、そこから税金が引かれます。超低金利時代と言われている今、預金だけで資産を殖やすことは限界を迎えているのです。現状、資産は銀行に預金するのではなく、その銀行の株を買う方がより高い収益につながりやすくなっています。預金金利よりも、配当利回りの方が高いからです。

具体的にイメージするために、ある銀行のある日の株価が200円、配当金が年7円50銭として考えてみましょう。

配当利回り(配当金÷株価×100)を計算すると、7円50銭÷200円×100=3.75%、定期預金金利は0.010%ですから、配当利回りは375倍です。株価は上下動しますが、配当金が減額されない限り3.75%の利回りが変わることはありません。配当金が変動しなければ、10年間で37.5%、30年間で112.5%の収益となるので、元が取れる計算です。

株を長期間保有すること、つまり時間を味方にすることで定期預金より高い収益が期待できるわけです。もちろん、これはあくまで一例です。配当利回りが高い銀行株だけがこの投資スタイルに合致します。そして配当金が減額されるリスクがまったくないわけではありません。

「リスク」と聞くと怖いイメージがありませんか? しかし、この場合の「リスク」はすぐそこにある危険ではなく、価格が高くなったり安くなったりする「不確実性」を意味する言葉です。すべての金融商品にはリスクがあります。「安全確実」と言われている定期預金も、物価が上昇した際に金利が追いつかないインフレリスクがあります。だからリスクを避けるのではなく、リスクと共存していくことがお金を殖やすために必要です。

投資のリスクが怖いのは、お金の知識が足りないため

一口に「投資」と言っても、さまざまな種類があります。株式投資、債券投資、投資信託、FX(外国為替証拠金取引)などが代表例ですが、いずれもリスクがあることを忘れてはいけません。

預金の一部をリスクのある「投資」にまわすことを提案されると「元本が保証されていないのに……」、「株は下がるかもしれないのに……」と不安になる方もいるでしょう。そして、日本人には不労所得に罪悪感を覚える傾向が見られます。配当金で得た1万円と汗水流して働いて得た1万円は、貨幣価値も、購入できるものも同じ1万円。しかし、働かずに得たお金には嫌悪感があるのは、「お金は汚い物」、「お金の話をするのは卑しいこと」と教育されてきたからだと考えられます。

友人と食事をしながら貯蓄の話や投資の話をしたことはありますか? 友人の資産状況を聞いたことがありますか? 多くの人は、お金の話は避けて会話をします。お金は豊かさを得るためのツールの一つなのに、こうした傾向はいまだ脈々と続いています。

前回も触れたとおり、日本では学校でお金についての教育をほとんど受けません。お金についての考え方は育った環境によって左右されます。「投資」のような働かずにお金を得ることが罪悪だと教えられて育てば、「投資」に躊躇してしまうでしょう。しかし「投資」などを両親が行っていて、それを子どものころから見ていれば抵抗は少なくなるでしょう。お金を殖やす方法としての「投資」についての考え方をまず変えることが、お金を殖やす一歩となるのです。

お金を殖やすとよい理由を考えてみたことはありますか? お金はあって困るものではありません。お金があれば、生活の中で選択肢を増やすことができます。例えば、東京から京都に行く場合の交通手段を考えてみましょう。お金をかけずに行くなら高速バスが最も安価だと考えられますが、お金に余裕があれば新幹線のグリーン車も選択できます。選択肢が多ければ、豊かな老後を過ごせると思いませんか?

では、どうすればお金を殖やすことができるのでしょうか? 「投資」はたしかにリスクがあり、資産を必ず殖やせると断言はできません。先ほども述べたように、超低金利時代の今、株や投資信託など元本が保証されていない商品による資産運用、つまり「投資」を考慮すべきでしょう。

「投資」の重要性について語る深野さん 「投資」の重要性について語る深野さん

「投資」はいつから始めるのか、答えは一日でも早く

「投資」を勧めると、日本人は「投資」について一生懸命勉強し、何もかも自分でしようとして「投資」に多くの労力を費やしてしまう傾向があります。しかし、豊かな生活を目指すのであれば、大切にしなければならないものがあります。それは、神様が老若男女、あらゆる人々に平等に与えたもの、すなわち「時間」です。1日24時間は、誰にでも与えられた平等なものです。この限られた時間を有効に使うことは、「投資」の場合にも当てはまります。

「投資」について独学するのが難しければ、専門家に任せてみるのも1つの手です。そうすれば、「投資」に使う予定だった時間を、自分の好きなことに使うこともできます。大切なのは、24時間を効率よく使って、お金に働いてもらうことです。

では「投資」はいつから始めればいいのでしょうか? 答えは「一日でも早くスタートすること」。雪だるまを作るときと同じく、転がせば転がすほど殖えていきます。繰り返しになりますが、リスクがあるので失敗することもあるでしょう。しかし、失敗することで経験値が上がり、「投資」の知識や情報も得られます。退職してお金ができてから「投資」を始める方もいますが、大きなお金を運用するということは失敗するリスクも大きくなるので、できるだけ若いうちから「投資」を始めて、少額の運用で経験を積むことが大切です。

「投資」を始めてみようにも、何から始めればよいかわからない方は、興味のあることに注目してみましょう。海外旅行が趣味ならば、好きな国の外貨を買う「為替」からスタートしてもよいですし、情報が得やすい日本株を買ってみるのも一つの選択肢です。まずはお試しと考えて、少額で始めてみることです。「投資」はお金がなければできないと思っている方も多いようですが、投資信託は100円から始めることができます。お金がないと「投資」できない時代は、過去のものになりました。資産を殖やすチャンスは誰にでもあるのです。

「世代間格差時代」から「世代内格差時代」へ。勝ち組は始めている

多くのサラリーマンは60歳、再雇用ならば65歳で定年退職を迎え、勤務が終わります。年功序列でリストラもなく、そのまま定年を迎えることが一般的でした。そういった中で、潤沢に年金を受け取ることができる世代と、年金を受け取ることができるのか不安でリストラもある世代の間に「世代間格差」がありました。

しかし、これからは「世代内格差」に代わっていくと思われます。お金を殖やすために「投資」の重要性に気付いた方と、気付かなかった方の間で差ができるのです。それは30代の方たちだけでなく、40代、50代でも同じように「世代内格差」が生じることが予想されています。

これまで、自分の収支を知り、貯蓄習慣を身に付け、資産を殖やすために時間を効率よく使うことが大切だとお話してきました。では、具体的にどれくらいまで殖やせばいいのでしょうか? 人生100年を迎えつつある今、「どれくらいお金があれば豊かな老後を過ごせるのか」という質問も数多くいただきます。そこで最後に、次回までの宿題として今回もクイズをご用意しました。

現在60歳の夫婦が(2人で)豊かな老後を過ごすために、1億円の資金が必要でしょうか?YESそれともNO、どちらだと思いますか?

深野康彦さん

 

<深野康彦さんプロフィール>
1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴31年(2019年4月現在)を誇る。金融資産運用設計を研鑽して1996年に独立。現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。日経CNBC「夜エクスプレス」では水曜日のアンカーを担当。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。
主な著書:
『1万円から始めるETF投資』(日本経済新聞出版社)
『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版)  
『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』(ダイヤモンド社)など多数

 

*記載の情報は2019年7月12日時点のものです。
*取材対象者のコメント、内容は個人の見解であり、当社の公式見解ではありません。また、その正確性を当社が保証するものでもありません。

 

 
ニュースレター購読をすると読める、福岡伸一さんのプレミアムコンテンツ

資料請求、保険料シミュレーション、保険のプロへのご相談なら

メットライフ生命公式サイト