メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.7.3この記事の所要時間:約4分

「かかりつけ医」が居なくなった現代の日本

ニュースなどで地方での医師不足、過疎化の影響による病院の統廃合など、地域医療の抱える問題が取り上げられています。いったいいつ頃からこういった問題が出てきたのか、地域医療の歴史を少しだけさかのぼってみましょう。
 
団塊世代がまだ子供だったころの日本では、いわゆる“かかりつけ医”の存在が当たり前でした。その当時はまだ医師が、単なる職業の呼称である“医者”ではなく“先生”と、尊敬の念を込めて呼ばれるのが普通だったと、親の代から開業されていた老齢の医師に聞かされたことがあります。いわゆる地域における診療所の「お医者さん」です。

当時は地域医療に従事する医師の役割も今のそれとは大きく異なり、怪我や病気に関することはもちろんのこと、ご近所の相談事や縁結びまでを世話していたという話なのです。患者の生活に寄り添ったケアが行われており、医師と患者の距離も、今よりもかなり近かったようです。

病院の医師数と診療所の医師数の推移

病院の医師数と診療所の医師数の推移 出典:厚生労働省「平成26年(2014年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」 図1 施設の種別にみた医療施設に従事する医師数の年次推移

 

『平成26年(2014年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況』(厚生労働省)によると、こうした診療所の医師の数は伸び悩んでおり、1986年に病院医師の数が診療所医師の数を上回ると、その後は差が開き続けています。

日本は高度経済成長期を迎え、さまざまな分野で技術革新が進みましたが、医療の世界も例外ではなく、医療技術の高度先進化や大学病院を中心とした日本の医療全体の組織化が進んでいきました。

高度経済成長期を過ぎてもその流れは続き、地域医療のあり方にも変化をもたらすことになりました。同調査では“医療法上で広告可能な専門医を取得している医師”は2年前の前回調査より3.9%増の56.9%と、引き続き専門医志向が強まっていることが分かります。こうした制度改革や時代背景の影響を受け、昔あったような“かかりつけ医”というものがいつしか遠い存在になっていったのです。

 

専門医志向が日本の医療課題になってしまった

医療技術の進歩による恩恵を多くの患者が享受した一方、地域医療に目を向けると高齢化と地方の医師不足が加速度的に進んでいます。これについては『医師不足の現状と対策 ―医師養成数と医師の配置を中心に―』(国立国会図書館)で

“地域の医師不足は解消しておらず、現在も診療制限を余儀なくされている病院がある”

と触れられており、まだまだ課題が多く解決には時間がかかりそうです。このような状況下で“とある問題”が露見してきました。

若く健康な人が病気や怪我をしたときは、原因を特定できることが多く、それに合った専門医に診てもらうことで対応でき、その多くは短期の治療で快方に向かいます。しかし、対象を高齢者に置き換えるとどうでしょう。あちらが痛い、こちらが痛い、と身体中の痛みを訴えるという話はよく耳にします。

こういった場合には専門医ではなく、日頃から患者の様子に気を配り、日々のケアをしてくれる医師が必要ではないでしょうか。このように高齢化の進行に伴い、老化により引き起こされるさまざまな疾病を抱える患者が増え、専門医ばかりを育てていっては今後対応しきれないという、構造的な問題が見えてきました。

 

総合診療医教育では遅れを取った日本

欧州では早くから「プライマリ・ケア」と呼ばれる総合診療の必要性が認知され、制度の整備が進められてきました。『日本における総合診療医の可能性について』(東京財団 医療研究会, 2013年)では以下のような記載があります。

“欧州などの事例を見ると、平均でも3分の1以上が家庭医・総合診療医。ベルギーやフランスは約半分。イギリスは3割ぐらい。医療制度の中で適切に位置付けられている。”

欧州では、総合診療医が医療の中心的役割を担っていることが分かります。

日本では長年、この役割を開業医や一般病院の外来などで賄われてきたこともあり、問題の顕在化が遅れた事情があります。ようやく近年、国もこの問題を認識し、総合診療医教育の育成に向けた取り組みがスタートしました。

 

総合診療医による診断

 

高齢化社会の進行で日々の総合的なサポートが重要になってきた

 

前述の通り国内でもようやく総合診療医教育が始まったわけですが、当然医師はすぐには育ちません。現在もその内容について引き続き議論が行われている、日本専門医機構の定める総合診療専門研修プログラムは3年間です。仮に3、4年後に総合診療医の輩出が始まったとして、そこから臨床レベルでのノウハウの蓄積にはさらに時間がかかり、制度として、十分な機能を果たすまでにはさらに多くの時間がかかりそうです。

 

医療機関だけに頼りきらない。サポートを受けながらセルフケアを。

総合診療医による医療体制の充実は1日でも早く待ち望まれますが、ただ待つ以外にもできることはたくさんあります。

たとえば、保険などの商品の中にも、日々の健康をサポートするサービスを提供しているものもあります。
一例として、電話による相談窓口などが挙げられます。何かしらの症状が出た場合は病院に行きますが、そうではない健康面の心配事や相談事もできる窓口です。これを利用することで、他人にはなかなか相談しにくい健康の問題であったり、健康診断の結果が何となく気になるといったときに、電話をかけるだけで専門知識を持ったスタッフによるアドバイスが受けられ、いち早く対処することができるようになります。普段からこうした気軽に相談できる体制を整えておくことも、大切だといえそうです。

 

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Posted: July 3, 2017