メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.10.20この記事の所要時間:約5分

将来的にADL、QOLのために大切なのは「骨の力」

10月20日は国際骨粗しょう症財団の定める「世界骨粗しょう症デー」(World Osteoporosis Day)です。それに先駆けるかたちで、公益財団法人骨粗鬆症財団がセミナーを開催しました。骨の密度が下がる病気「骨粗しょう症」の予防、診断そして治療を世界で認知させ、骨粗しょう症による骨折をなくすことが目的で、90を超える世界中の関連学会・団体が協力しています。

骨粗しょう症なんて、他人事……と思っている人は、すこし考え方をあらためたほうがいいかもしれません。公益財団法人骨粗鬆症財団によると、骨粗しょう症で生涯に骨折する割合は50歳で女性は3人に1人(46.4%)、男性は5人に1人(22.4%)でした。

 

骨粗しょう症で生涯に骨折する割合

 

しかも、骨折前の歩行状態に回復しない割合は40%、骨粗しょう症が進むと生じやすい「大腿(だいたい)骨骨折」後、1年以内の死亡率は20〜24%と高いのです(同財団)。

さらに、厚生労働省の平成28年国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因の内訳を見ると、関節疾患、骨折・転倒をあわせた割合は女性で27.7%、男性で11.9%と高い数値を示していることが確認できます。厚生労働省健康局健康課の川本めぐみ氏は「日常生活に制限のない期間を健康寿命といい、その健康寿命は延び続けている中、骨粗しょう症への対策は重要」と話します。

 

川本めぐみ氏(厚生労働省健康局健康課) 川本めぐみ氏(厚生労働省健康局健康課)

 

骨は簡単に鍛えることはできません。何事も早い段階での準備が必要です。どんなに長寿社会になっても、老後に骨が弱くて動けなくなってしまうと、生活にさまざまな制限がでてきます。日常生活の活動性(ADL:Activities of daily living)を保持し、生活の質(QOL:Quality of Life)を高めるためにも、原因を知り、解決を目指しましょう。

 

骨粗しょう症の主たる原因「ビタミンD不足」は10代から始まっている

骨を守るためにできることは、適度な運動や十分な栄養、そして検査です。帝京大学ちば総合医療センター第三内科の岡崎亮先生は「ビタミンDが不足、欠乏すれば骨粗しょう症の原因になる」と話します。「日本人だけでなく世界中でビタミンDが不足、欠乏がまん延しています。原因は日光忌避と食生活です」

 

岡崎亮先生(帝京大学ちば総合医療センター第三内科) 岡崎亮先生(帝京大学ちば総合医療センター第三内科)

 

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会」が作成した『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』によると、加齢とともに変化する骨の量は一般的に20代でピークとなり、40代を過ぎると減少しはじめます。神経や筋肉が正常に働くためには、血液中にカルシウムが必要です。カルシウムが足りないと、骨を削ってでも血液中のカルシウム濃度を保つのが人間の身体です。血中のカルシウム濃度や、カルシウムの吸収や利用に不可欠なビタミンD不足を副甲状腺が感知すると、副甲状腺ホルモンを出して骨を溶かします。つまり血液中のビタミンDが少なくなると、血液中の副甲状腺ホルモンが増えるという、強い負の相関があるのです。こうなることで、骨粗しょう症などの骨折リスクが上昇する状態になるのです。

ビタミンDは食品などから摂る分と、皮膚から紫外線を受けて合成される分の両方が必要です。体内での合成に不可欠なのが、紫外線を浴びることです。日焼けをする必要はないのですが、例えば、一日15分の顔面・前腕日光浴をする程度でいいのです。気を付けたいのは、このとき日焼け止めを塗っているとビタミンDは合成されないということです。

また、日光の強弱も関係があり、例えば、12月の正午に一定のビタミンDを産生するために必要な日光暴露時間は、札幌では76.4分も必要なのに対し、那覇では7.5分でした。

食品から摂る場合、ビタミンDに富む食品は魚とキノコ、卵などです。例えば、文部科学省の『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』によると、あんきもは110㎍も持つといいます。

 

ビタミンDに富む食品

 

食品から摂るビタミンDと、皮膚から紫外線を受けて合成されるビタミンDは体内で25(OH)Dに代謝され、血中で循環します。このためこの値がビタミンDの過不足の指標となります。厚生労働省が発表している『日本人の食事摂取基準』(2015年版)によると、25(OH)D濃度が30ng/ml以下だと不足状態と言われています。

日本人においては、この25(OH)D濃度が20ng/ml未満だとその後、15年間骨折が多いという発表もあります。

 

日本人において血清25(OH)D濃度が20ng/ml未満だとその後15年間骨折が多い

 

75歳以上の日本人女性に対し1年間の追跡調査を行った結果では、ビタミンD欠乏(25(OH)D 20ng/ml未満)が翌年の転倒リスクにもつながっていたとのことです。

 

75歳以上の日本人女性においてビタミンD欠乏(25(OH)D 20ng/ml未満)は翌年の転倒リスクである

 

岡崎先生によると、日本人の10代718名のうち約半数がビタミンD欠乏状態で9割が非充足という調査もあるといいます。骨粗しょう症予備軍は、着実に増えているといっていいでしょう。

 

日本人ティーンエイジャー718名の検討約半数がビタミンD欠乏 9割が非充足

 

骨粗しょう症による大腿骨骨折、日本は西高東低という発表も

2017年9月27日、骨粗しょう症が進むと生じやすい「大腿骨骨折」の人口10万人あたりの発生率を都道府県別に集計すると、中部から九州にかけての西日本で高かったとの調査結果を、骨粗鬆症財団の骨粗鬆症診療実態調査ワーキンググループがまとめ、発表しました。

 

玉置淳子教授(大阪医科大学衛生学・公衆衛生学教室) 玉置淳子教授(大阪医科大学衛生学・公衆衛生学教室)

 

玉置淳子大阪医大教授らは、公的医療保険を使った医療の受診記録に当たる、診療報酬明細書(レセプト)の情報を集めたナショナルデータベースを活用し、2015年の大腿骨骨折の男女患者数を都道府県ごとにまとめて、40歳以上の10万人当たりの発生率を集計しました。

全国の患者発生率は、女性が10万人あたり299人、男性同89人。女性が多いのは、骨の細さと骨形成にかかわるホルモンが閉経により減少するためということです。

骨量検診は各地区で受けられるところも多いので、一度受診してみると良いでしょう。世界骨粗しょう症デーを機に自分の骨と向き合ってみませんか?

 

 

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Posted: October 20, 2017