コラム 2:“温故知新”で未来を見通す──過去の相場から学ぶ長期視点
長期の資産形成においては、世界情勢や経済環境の変化によって相場は大きく変動し、時には下落することがあります。下落相場に直面すると、この先もさらに悪化するのではないかと、投資を継続することに不安を感じることもあるでしょう。
そこで、こうした局面に向き合う際のヒントとして、相場急変時の考え方や対応の一例をまとめたコラムをご紹介します。不安を感じたときの一助となれば幸いです。
「温故知新!」過去からの株式市場推移を長期的に見てみる
下落相場に直面したとき、真っ先に頭に浮かぶことは「この先どうなるのだろうか?」という漠然とした不安ではないでしょうか。将来を的確に予測し、積極的に投資するか、投資をやめるかの見極めを行うことはプロの投資家でも難しいことです。先行きの不安が高まる時こそ、焦らず慎重に資産運用に向き合うことが大切です。
グラフ①は、過去 20 数年の世界株式の値動きの推移と米国同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナウイルス感染拡大など、その間に起こった市況を動揺させる出来事を示しています。これまで何度も大きな出来事により、相場が急落していることがわかります。しかし、その都度、下落前の高値を超えるような大きな上昇が見られています。このように、過去の相場の動きは、大きな出来事に直面して下落を繰り返しながらも、長期的には右肩上がりに成長してきたことがわかります。
将来を明確に予測することはできなくても、「温故知新」、過去の事実とその後の経過をしっかり知っておくことは、不安に感じている将来に対してのヒントとなり、冷静に資産形成に向き合うことにもつながるのではないでしょうか。
グラフ①
世界のGDPと株式市場の推移
出典:IMF World Economic Outlook Database(2025年4月版)、ブルームバーグのデータをもとに当社にて作成
1999年末を100として指数化し、世界株式はMSCIワールドインデックス(配当込み・米ドルベース円換算)、為替はWMロイター(世界株式の円換算時に使用)の各指数を用いています。
長期の資産運用は野球のリーグ戦に例えられます
グラフ②は、公的年金積立金(GPIF年金積立金)の過去の累積収益額を示しています。長期の運用期間では、リーマンショックなどの影響を受けながらも、収益額は徐々に増加しています。もちろん、相場の下落により収益率がマイナスになることもあり、単年度では損失が発生する場合もありますが、長期的には収益が増加しています。
資産運用は野球のリーグ戦に例えることができます。どんなに強いチームでも年間 130 試合すべてに勝つことはありません。また、負けてもチームが解散するわけではありません。資産運用も同様で、短期的な相場の変動に左右されず、将来の目標に向けて投資を続けることで、長期的な成果を得ることが重要です。
グラフ②
■GPIF年金積立金の推移(市場運用開始以降、2024年度第3四半期運用状況)
出典:GPIF年金積立金管理運用独立行政法人「2024年度第3四半期運用状況(速報)」より作成
グラフ②続き
■GPIF運用資産額/GPIF資産構成割合
出典:GPIF年金積立金管理運用独立行政法人ホームページ(2025年9月現在)より作成
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