ガン治療に要した平均入院日数や平均通院年数はどのくらい?

 

記事公開日:2024年4月11日 / 最終更新日:2024年7月31日

ガンと診断された際、「入院日数や通院年数の平均は?」「ガンに罹患したら収入はどうなる?」といった不安を抱く方もいるでしょう。

当ページでは、ガン治療(抗ガン剤治療など)に要した平均入院日数や平均通院年数、ガン罹患後の収入や、ガン保険と医療保険の違いなどについて解説します。

「ガン」とはどのような病気?

まずは、ガンの概要について解説します。

ガンは異常細胞の増殖により発症する

ガンとは、遺伝子の突然変異で生じる異常細胞です。人間の体は規則にのっとって細胞分裂を繰り返して新陳代謝をしています。細胞分裂をするときは、分裂する細胞のDNA(遺伝子)をコピーして同じ細胞が増えていきますが、この時DNAに何らかの原因でコピーミスが生じると異形細胞やがん細胞(悪性細胞)が生じることがあります。ただ、私たちの体には「がん抑制遺伝子」というものがあるので、通常はコピーミスしたような細胞は排除される仕組みができています。しかしながら「がん抑制遺伝子」もコピーミスなどによりがん細胞が排除できなかった場合にはがん細胞が次々とコピーされて増えていくことになります。

※遺伝子には「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」があり、がん細胞の発生や排除をうまくコントロールしています。コピーミスを誘発する要因は様々ありますが、加齢・喫煙・刺激物・物理的刺激・化学物質・紫外線等々数え切れません。

ガンの総患者数や受療者数

厚生労働省の「令和2年患者調査」によると、ガンの総患者数は約365万人です。

悪性新生物の総患者数/悪性新生物の受療者数(入院含む)
主な疾病の総患者数

また、ガンの入院を含む受療者数は1日あたり約29万人とされています。  

ガン治療(抗ガン剤治療など)に要した平均入院日数や平均通院年数はどれくらい?

次に、ガン治療(抗ガン剤治療など)に要した平均入院日数や、平均通院年数について見ていきましょう。

ガン治療に要した平均入院日数は約19.6日

厚生労働省の「令和2年患者調査」によると、ガン治療に要した平均入院日数は、約19.6日です。

悪性新生物の平均在院日数
主な疾病の退院患者平均在院日数

近年、ガン治療の入院受療率は年々減少傾向にある一方、通院で治療を受ける方は増加傾向にあります。

がん(悪性新生物)の外来受療率・入院受療率
出典:厚生労働省「令和2年患者調査」より作成

これは、通院しながら治療できる抗ガン剤治療や、放射線治療などが増加しているためと考えられます。

ガン初発時の定期的な通院年数は平均2.4年

「初発時の定期的な通院」とは、検査または経過観察のための通院を指します。この通院の平均年数は2.4年で、再発や転移後の治療期間はこの数値に含まれません。

初発時の定期的な通院年数
※検査および経過観察のための通院、再発・転移後の治療期間は除外 ※調査対象者は「がん罹患者またはがん罹患経験者」
出典:メットライフ生命調べ「がんに関するインターネット調査(2023年5月)」

なお、ガンは、再発や転移が原因で治療が長期化することもあります。治療が長期化した場合、治療費がかさむことは考慮しておくとよいでしょう。

再発・転移することもあります。
※調査対象者は「ガン罹患者またはガン罹患経験者」
出典:メットライフ生命調べ「がんに関するインターネット調査(2023年5月)」

ガン罹患後の収入状況や就労意欲は?

次に、ガンと診断されたあとの収入の状況や、就労意欲についてです。

下表は、ガン罹患後の収入状況と経済的負担への対応についてのアンケート結果です。

収入は約半数の人が減少、4割以上の人が貯蓄を切り崩しています。(出典1)

がん罹患後の収入の状況

がん罹患後の収入の状況

経済的負担への対応

経済的負担への対応

働き続けたい人は9割を超えるものの通院しながら働く人は5割以上です。(出典2)

ガン治療は、働きながら治療できる時代になりましたが、今まで通り働くことが難しい場合もあります。

通院しながら働いている人53.6%
出典1:東京都福祉保健局「東京都がん医療等に係る実態調査結果(がん患者の就労等に関する実態調査)(平成31年3月)」よりメットライフ生命にて作成
出典2:メットライフ生命調べ「特定疾病に関するインターネット調査(2021年11月)」より作成。調査対象者は「ガン罹患者およびガン罹患経験者」です。

ガン罹患後の収入の状況においては、「減った」と回答した方が49.4%、「変わらない・増えた」と回答した方が49.9%でした。

また、経済的負担への対応では、43.7%の方が「貯蓄を切り崩した」と回答しています。ガンに罹患した場合、ご自身だけでなく、ご家族への生活に影響をおよぼすことも考える必要があるでしょう。

次に、通院中かつ就労中の方に今後の就労意欲を質問したところ、「働き方は同じで仕事を続けたい」と回答した方は78.2%、「働き方を変えて仕事を続けたい」と回答した方は17.6%となり、90%以上の方はガン罹患後にも就労意欲があることがわかりました。

ガン罹患後も仕事を続けたい理由として、81.7%の方が「生計を維持するため」と回答しています。

また、ガン罹患者およびガン罹患経験者への就労状況のアンケートでは、通院しながら働いている方の割合は53.6%でした。

この結果から、働き続けたいと考えている方は90%を超えるものの、通勤しながら働く方は約50%であることがわかりました。

まとめ

ガン治療の入院受療率は年々減少傾向にありますが、抗ガン剤治療や放射線治療の増加にあわせて通院治療を受ける方は増加傾向にあります。

ガン罹患後の収入などに関するアンケートでは、ガンに罹患した方の約半数が収入減を経験し、経済的負担に対処するために43.7%の方が貯蓄を切り崩しています。また、ガンに罹患したあとも、90%以上の方が働き続けたいと回答しています。

近年では、ガン治療と並行して働くことも可能なケースが増えていますが、職場環境や治療内容によっては、今までどおりの働き方を継続させることが難しい場合もあるでしょう。

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