糖尿病の平均入院日数や入院費用はどれくらい?

 

記事公開日:2024年4月11日 / 最終更新日:2024年7月31日

糖尿病に不安を感じる方のなかには、「糖尿病の症状や原因は?」「糖尿病を患った際の平均入院日数は?」といった疑問を持つでしょう。

当ページでは、糖尿病の概要や、おもな合併症の種類、糖尿病を患った際の平均入院日数や入院費用などについて解説します。

糖尿病とは

まずは、糖尿病の概要について解説します。

血糖値が継続的に高くなる病気

糖尿病は、血糖値が継続的に高くなっていることで起こる病気です。これは、膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」も分泌不全や欠乏、インスリンに対する反応性の低下などが原因で、血糖値を基準値内に保つことができなくなったものです。

糖尿病の初期は、多くの場合自覚症状がありません。病状が進行すると以下の症状があらわれてくることがあります。

  • 体重が減る
  • 疲れやすくなる
  • すぐにお腹が空く
  • 喉が渇く
  • 多飲、口渇
  • 頻尿、多尿など

糖尿病の総患者数は約579万人

糖尿病の総患者数は約579万人です。また、40歳以上の3人に1人が糖尿病予備軍とされています。

糖尿病の総患者数
主な疾病の総患者数

糖尿病予備軍とは、血糖値が基準値と糖尿病と判断される間に位置する状態を指します。この段階では、空腹時の血糖値が高めであるにもかかわらず、糖尿病と確定診断されることはまだありません。  

40代以上になると、糖尿病がより身近な疾病になりますが、その理由は、年齢とともに身体の代謝機能が低下し、インスリンの分泌が減ったり、インスリンの反応性が低下して血糖値が上昇する傾向にあるためです。また、加齢による運動量の減少のほか、食生活や体質などの要素が糖尿病のリスクを高める要因になります。

糖尿病を患っても治療しない方は4人に1人

実は糖尿病と診断されたにもかかわらず、治療を受けていない人は約4人に1人います。

糖尿病と指摘されても、約4人に1人は治療を受けていません。
出典:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」より作成

これは、糖尿病の初期には自覚症状がないことが多く、治療する必要性に迫られない人が多いためと考えられます。糖尿病を発症すると治癒は難しくなるため、診断された際は、早期に治療を開始することが大切です。

糖尿病の合併症にはどのようなものがある?

血液中の血糖値をコントロールせず放置すると、合併症を発症することがあります。ここでは、糖尿病のおもな3つの合併症 について解説します。

糖尿病神経障害

糖尿病で高血糖の状態が続くと、血管の動脈硬化が進行し、血流の障害が出現します。その結果、運動神経・自律神経・知覚神経などの神経の感覚が鈍くなります。

糖尿病性腎症

糖尿病により腎臓の機能が低下する症状です。高血糖の状態が続くと、細い血管が詰まったり、傷つきやすくなったりします。その結果、細い血管が多い腎臓に障害が起きることで腎機能が低下し、老廃物を排出できなくなり、最終的には腎移植や人工透析になります。

糖尿病網膜症

高血糖の状態が続き、目の網膜に広がる毛細血管に障害が起きることで、視力が弱まります。症状が進行すると失明することもあります。

糖尿病の平均入院日数や入院費用

糖尿病が進行した場合、入院による治療を行なわなければならないことがあります。ここからは、糖尿病の平均入院日数や入院費用について解説します。

糖尿病の平均入院日数は約30.6日

糖尿病の平均入院日数は、約30.6日です。

糖尿病の平均入院日数
主な疾病の通院患者平均在院日数

上図を見るとわかるように、糖尿病の平均入院日数は、脳血管疾患や高血圧性疾患、腎不全に比べると少ない傾向にあります。ただし、1ヶ月間ほどの入院期間は想定しておくべきといえます。

糖尿病の入院費用

以下の表は、通院により糖尿病の治療を続けていた68歳の男性が、血糖コントロールのために25日間入院し、合併症の精査も実施した際の入院費用の一例です。

入院費用例 糖尿病

68歳/男性/25日間入院

通院により治療を続けていたが、血糖コントロールのために入院が必要となり、合併症の精査も実施。経過良好と判断され退院となった。
(当記載内容は一例であり、個々の病状などによって異なります)
(医療費の精算は暦月単位で行います)
(2022年10月1日作成時点での制度に基づく情報です)
(制度の改正があった場合はこの限りではございません)

一時的に支払う費用/実質の自己負担費用
窓口で支払う自己負担額(3割)
高額医療費
医療費以外の費用
【セールス手帖社保険FPS研究所調べ・監修。医療費については令和4年度診療報酬点数表(厚生労働省)に基づき作成(2022年10月1日現在)】

*1 医学管理料とは、主に医師などが患者に対して行う計画的な指導管理や療養指導に対する費用として規定で定められています。

*2 在宅自己注射指導管理料とは、インスリン自己注射などを行っている患者が指導を受け、衛生材料および保険医療材料を支給された場合に徴収されます。

*3 処置料とは、病状に合わせてその時々に必要となる手当てに対して請求されるもので、その項目や内容については別途定められています(体内の各器官の洗浄、傷の手当てなど)。

*4 入院料とは、通常行われる入院中の基本的な医師の診断や治療、および看護に対して請求される基本的な料金です(室料差額の徴収がない場合には室料相当分も含まれます)。

*5 窓口で支払う自己負担額(3割)は、10円未満を四捨五入しています。

*6 高額療養費の自己負担限度額は、1円未満を四捨五入しています(暦月ごとに所得区分「標準報酬月額28~50万円」で計算、多数回該当・世帯合算は非該当)。所定の手続きにより、自己負担限度額を超える分の窓口での支払いは不要となります。

*7 入院時食事代の自己負担額は、1日3食計72食分(入院日の朝食と退院日の昼夕食の計3食分を除く)で計算しています。

*8 室料差額(差額ベッド代)は、25日分で計算しています。

*9 雑費は、25日分で計算しています。その他にも、お見舞いのための交通費などがかかる場合もあります。

入院する際は、公的保険が適用されない医療費以外の費用の考慮も必要です。具体的には、見舞いの交通費や入院期間中の日用品代などが挙げられます。

上記の例における医療費以外の費用は、合計で19万5,620円となっています。治療費などは高額療養費制度が適用されるため、実質の自己負担費用は35万8,524円となっていますが、一時的には43万6,930円の支払いが生じています。

糖尿病は、発症すると完全に治すことができないため、退院したあとも治療費を支払い続けなくてはならない可能性があります。また、合併症を発症した場合は、糖尿病と同時に合併症の治療費などの考慮も必要です。

まとめ~糖尿病で入院する場合の費用は入院費用以外も考える必要あり

糖尿病で入院することになった場合は、入院費用のほかにも公的保険が適用されない入院期間中の日用品代や、場合によって見舞いの交通費などの費用も発生します。

また、入院後の治療費や、合併症を引き起こした場合の治療費なども考える必要があります。

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