女性特有のがん(乳がん・子宮がん)とは?入院や外見の変化への対処にかかる費用

 

記事公開日:2024年5月30日 / 最終更新日:2024年8月29日

女性特有のがんの種類やリスク要因、経済的な負担について詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。

当ページでは、乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんの概要や入院および治療による外見の変化への対処にともなう費用について解説し、女性特有のがんに備えるポイントを紹介します。

女性特有のがんとは?

女性特有のがんとは、女性の乳房や生殖器官に関連するがんです。女性特有のがんには、乳がんや子宮がん(子宮頸がんと子宮体がん)卵巣がんなどがあります。

乳がんは、乳房のなかにある乳腺(母乳をつくる器官)にできるがんです。乳がんのリスク要因としては初経年齢が早い、初産年齢が遅い(高齢出産)、授乳歴がないなどが挙げられます。

子宮頸がんとは、子宮の膣部にある子宮頸部にできるがんです。子宮頸がんになる原因のひとつには、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスへの感染があります。HPVは性交渉によって感染しますが、90%程度は自然治癒します。感染継続している方で特定のウイルス型に感染しているとがんを発症しやすくなります。HPVの感染を防ぐ方法としてワクチンの接種もあります。

子宮体がんは、子宮の上部(子宮体部)の内側にある子宮内膜で発生するがんです。子宮体がんのリスク要因としては、肥満、閉経年齢が遅い、ホルモン(エストロゲン)補充療法などが挙げられます。

女性特有のがん(乳がん・子宮がん)の罹患リスクが上昇する要因は?

以下は、おもながんの年齢別女性推計患者数を表したデータです。

主ながんの年齢別女性推計患者数

改めて乳がん・子宮頸がん・子宮体がんにおける、おもなリスクが上昇する要因をまとめると以下のとおりです。

  • 乳がん:初経年齢が早い、初産年齢が遅い(高齢出産)、授乳歴がない、など
  • 子宮頸がん:ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染、喫煙、多産、など
  • 子宮体がん:肥満、閉経年齢が遅い、ホルモン(エストロゲン)補充療法、など

リスクへの理解を深め、がんへの備えを検討することが大切と考えられます。

女性特有のがんのなかで患者数が多いのは乳がん

男女別がん罹患数TOP5(2019年)

男女別がん罹患数のデータによると、女性特有のがんのなかで患者数が最も多いのは乳がんです。

乳がんの診断に至るきっかけとしては、乳房腫瘤(胸のしこり)、乳頭・乳輪部の湿疹やただれ、乳頭異常分泌、乳房皮膚のくぼみなどが知られています。また、がん検診をきっかけに見つかる無症状の乳がんもあります。

女性特有のがん(乳がん)の入院費用

女性特有のがんの入院費用を、以下の事例を参考に紹介します。

入院費用例 乳がん

35歳/女性/17日間入院
(同月内に17日間入院したケース)

ステージⅢaと診断された35歳の女性で、乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術)を受け、17日間の入院となりました。退院後は、再発防止のために抗がん剤治療と放射線治療を受ける予定です。(当記載内容は一例であり、個々の症状などによって費用は異なります)

(医療費の精算は暦月単位で行います)
(2022年10月1日作成時点での制度に基づく情報です)
(制度の改正があった場合はこの限りではございません)

一時的に支払う費用/実質の自己負担費用
窓口で支払う自己負担額(3割)
高額医療費
医療費以外の費用
【セールス手帖社保険FPS研究所調べ・監修。医療費については令和4年度診療報酬点数表(厚生労働省)に基づき作成(2022年10月1日現在)】

*1 医学管理料とは、主に医師などが患者に対して行う計画的な指導管理や療養指導に対する費用として規定で定められています。

*2 処置料とは、病状に合わせてその時々に必要となる手当てに対して請求されるもので、その項目や内容については別途定められています(体内の各器官の洗浄、傷の手当てなど)。

*3 入院料とは、通常行われる入院中の基本的な医師の診断や治療、および看護に対して請求される基本的な料金です(室料差額の徴収がない場合には室料相当分も含まれます)。

*4 窓口で支払う自己負担額(3割)は、10円未満を四捨五入しています。

*5 高額療養費の自己負担限度額は、1円未満を四捨五入しています(暦月ごとに所得区分「標準報酬月額28~50万円」で計算、多数回該当・世帯合算は非該当)。所定の手続きにより、自己負担限度額を超える分の窓口での支払いは不要となります。

*6 入院時食事代の自己負担額は、1日3食計48食分(入院日の朝食と退院日の昼夕食の計3食分を除く)で計算しています。

*7 室料差額(差額ベッド代)は、17日分で計算しています。

*8 雑費は、17日分で計算しています。その他にも、お見舞いのための交通費などがかかる場合もあります。

上の例では、窓口で支払う自己負担額(30%)の36万1,610円に高額療養費制度が適用され、高額療養費の自己負担限度額は8万9,484円となっています。

そこに医療費以外の費用である13万2,580円を合わせて、実質の自己負担費用は22万2,064円です。

女性特有のがん治療による外見変化へのケア(乳房再建・医療用ウィッグ)にかかる費用

抗がん剤治療による副作用や手術にともなう傷により外見が変化することに対して、苦痛を感じる方は多いでしょう。

女性特有のがん治療で外見の変化に対処する方法には、乳房再建や医療用ウィッグの使用が挙げられます。

乳房再建の費用

乳房再建とは、乳がんの切除によって変形したり失われたりした乳房を、できる限り取り戻すための手術です。

乳房再建の費用(高額療養費還付後の実質負担額)は、以下のとおりです。

乳房の再建

所得や年齢、入院期間により異なりますが、乳房再建の費用(高額療養費還付後の実質負担額)は9万~14万円程度です。

乳房の切除手術をされた方のうち、20%以上の方が乳房再建術を受けています。

医療用ウィッグの費用

女性特有のがんの治療にともなって髪の毛が抜けることがあるため、医療用ウィッグを着用される方もいます。

医療用ウィッグの費用の目安は以下のとおりです。

医療用ウィッグ

医療用ウィッグの費用の目安は、既製品では1万~10万円台、セミオーダーでは10万~40万円台、フルオーダーでは40万~80万円台です。

医療用ウィッグは公的医療保険の適用対象外のため、高額療養費制度は適用されません。ただし、自治体によっては助成制度がある場合もあります。

女性特有のがんに備えるポイント

乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんに備えるポイントとして、がんの早期発見と医療保険について紹介します。

がんの早期発見

がんは進行すればするほど治りにくくなります。初期のがんは症状がほとんどないまま進行することもあるため、早期に発見するには定期的にがん検診を受けることが大切です。

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行なうことでがんによる死亡を減らすことです。

おもながん検診を以下に挙げます。

主なガン検診

また、特定の病気(大腸がん、乳がん、子宮頸がん)については「がん検診無料クーポン券」が配布されています。

クーポン配布対象年齢

詳しくは、お住まいの市区町村のがん検診担当窓口にお問い合わせください。

がんに備える保険

医療保険への加入は、乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんの治療などにかかる費用に備える方法のひとつです。

がんに備える医療保険にはさまざまな種類があるため、保障内容をよく確認し、しっかり理解しておく必要があります。

がんに備える医療保険のなかで、特にがんの保障を手厚くしているのが「がん保険」です。

一般的に、がん保険とは、がんで入院したり、所定の手術を受けたり、がんと診断された場合などに給付金を受け取れる医療保険です。

がん保険は多様化していて、生命保険会社や商品によっては抗がん剤治療給付金やがん先進医療給付金を受け取れるものもあります。

再発などで治療の負担が重くなりがちながんに対しては、がん治療を手厚く保障する医療保険を備えておくと安心です。

まとめ

女性特有のがんには、乳がんや子宮がん(子宮頸がんと子宮体がん)、卵巣がんがあり、30歳代から罹患リスクが上昇する傾向があります。妊娠・出産・育児の時期と重なる可能性もあるため、日頃からの備えが大切です。

女性特有のがんの治療にともなう経済的な負担に備えるには、医療保険への加入を検討するのも方法のひとつです。

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