生命保険のメットライフ ホーム > #老後を変える もしも私が100まで生き... > マネー相談目次 > 長生き時代のヒントを見つけよう!マネー相談<第2回>

人生100年時代を見据えた明るく豊かな暮らしに向け、「長生き時代のヒントを見つけよう!」と題し、さまざまな年代の方にとっての、長生き時代のライフプランを一緒に考えていくコーナーです。

第2回も、メディアなどで活躍中のファイナンシャル・プランナー(以下FP)へのマネー相談です。2022年7月、本サイト「もしも私が、100まで生きるなら。」のニュースレター購読の皆さまに、お金のお悩みに関するアンケートを実施しました。お寄せいただいたお悩みに対し、FPの先生が相談に乗ってくださいました。
今回は、40代男性からの老後資金・介護資金、資産運用に関するマネー相談です。

2022.10.20長生き時代のヒントを見つけよう

相談内容に対する夢や目標「老後はお金を気にせず、安心して暮らしたい。」

相談者のプロフィール(写真はイメージ)

  • 富山県にお住まいのTさん(40代男性)/会社員(正社員)/年収1,000万円~1,200万円(税込み・相談者ご本人)
  • 家族構成:配偶者(46歳)、お子さま17歳の3人暮らし
  • お子さまの進路イメージ:公立中心

相談内容(一部、表現を修正しています)

テーマ:老後資金・介護資金、資産運用について
私たち現役世代は、年金がいつからいくらもらえるのか、正直、不安です。仮に自分が将来、介護施設に入るにしても、そのためにいくら準備しておけばいいのか、そろそろ具体的なプランを知りたいと思っています。今はただただ贅沢せず、無駄遣いしないようにとても質素に暮らしていますが、一方で、もう少し先を見据えつつ、自由にお金を使いたいとも思っていますが、いくらぐらいなら可能でしょうか?

相談内容に対する夢や目標
老後はお金を気にせず、安心して暮らしたい。

世帯収支

加入保険、貯蓄・運用について

  • 加入保険の死亡保障額:3,500万円、入院保障額/1日:0.5万円
    (個人年金保険、学資保険、定期保険、医療保険・がん保険)
  • 貯蓄・運用の内訳:預貯金10万円、運用10万円(投資信託、債券、iDeCo、NISA、つみたてNISA)

FPからのアドバイス

こんにちは、FPの豊田眞弓です。いただきましたデータに基づき、長生き時代をもっとワクワク豊かにTさんらしく生きるために、家計のお悩みについて考えてみましょう。

「老後はお金を気にせず、安心して暮らしたい」というのが相談のゴールですね。具体的には、年金不安があることや、介護資金をどれくらい用意したらいいのか、節約生活を送っているがもっと自由にお金を使えるか? …といった点がお悩みの点のようですね。家計データを拝見し、気になった点などもお伝えしながら、ゴールに近づけるよう頑張りましょう。
※データが限られるため、一部、推測に基づく回答となっていますこと、ご容赦ください。

継続すること

ご夫婦は40代でお子さまは高校生。教育費が月10万円かかり、今後、受験や大学進学と続き、教育費がピークを迎えつつある中、支出を抑え、月20万円のペースで貯蓄ができています。ボーナスからも貯蓄ができているでしょうから、非常に良いペースといえます。

月20万円の運用の内容も、預金に月10万円、投資信託や債券、iDeCo、NISA・つみたてNISAなどのリスク資産に月10万円と、バランス的にも悪くないといえそうです。ただし、昨今の円安で実感された方も多いと思いますが、為替リスクに備えて外貨資産、特に基軸通貨である米ドル建ての資産を組み込むことは、リスク分散を図るために重要といえます。

貯蓄・投資のペースは今の調子で継続を…と書こうとしていたのですが、「無駄遣いしないようにとても質素に暮らしていますが、もう少し先を見据えつつ、自由にお金を使いたいとも思っています」とあり、例えばお小遣いは月2万円と抑えめで、節約できてはいるけれども、やや息苦しさを感じていらっしゃる様子もうかがえます。老後だけでなく、今の時間もハッピーに暮らせることも大事。基本路線は変えることなく継続する一方で、今の生活をもう少し楽しめるような配分について、後ほど考えてみましょう。

さて、保険については、定期保険、医療保険・がん保険、学資保険、個人年金保険などに加入されていて、死亡保障3,500万円、入院保障日額5,000円。学資保険や定期保険の満期の時期を考慮すると、今は死亡保障が必要なタイミングですので、原則的には現在の保障は継続でよいと思います。
ただし、医療保険やがん保険などの見直しをしてはいかがでしょう。加入から15年、20年と経過した昔の商品だと、現状と保障が合っていない可能性もあります。医療保障は入院の短期化に備えて一時金が出るタイプなど、商品ラインナップが充実しています。先進医療の保障が付いているかどうかなども確認しましょう。入院や手術がないときに健康祝金が出るタイプだと、健康な人も納得できますね。がん保険は特に、診断給付金が複数回出るかどうかや、通院治療にしっかり備えられる内容かどうかなどをチェックしましょう。

外貨資産を組み込むことでリスク分散をと前述しましたが、個人年金保険は、円建てだけでなく、外貨建てと2本立てで入ると、為替リスクなどに備えながら老後に備えることが可能です。外貨資産を保有してリスク分散を図ることも検討したいところです。

やめること

「年金がいつからいくらもらえるのか不安」とのことですが、まずは、できることをして、不安を感じる状況をなくすようにしましょう。

日本は少子超高齢化社会。日本の人口は減少しており、2025年には団塊の世代(約800万人)が75歳(=後期高齢者)となり、国民の4人に1人が75歳以上という時代に。他方、少子化で社会保障を支える労働人口は減り、国の社会保障費がかさむだけでなく、高齢者本人の負担も増える傾向にあります。

公的年金制度(「年金制度のしくみ」参照)は5年に1回程度の財政検証などを行いながら、制度が維持されています。年金額の水準のラインが、かつては現役世代の6割だったものが現在は5割水準とされ、徐々に(相対的に)下がっていくことは覚悟して、Tさんの希望する老後生活をイメージして準備しておく必要があるでしょう。

不安を減らすには、自助努力で補うことです。これまでも現在のペースかそれに近いペースで貯蓄・投資をされてきたのであれば、一定の資産を築いてこられたのではないかと推測します。実は、いただいたデータでは家計収支が14万円合わず、それが家賃なのでは?と個人的には推測しましたが、あるいは、現金で家を買うなどされたことで家賃も住宅ローンもなく、14万円は貯蓄に回っている分なのかもしれませんね。
いずれにしても、老後資金・介護資金に目標額を設定して、さらに色分けをして準備することが、不安解消への第1歩かと思います。

新しくはじめること

「老後はお金を気にせず、安心して暮らしたい」、しかし、今の生活も大事にしたい、というご夫婦におすすめしたいのが、目的別貯蓄表の作成です。何のためどれくらいの貯蓄が必要で、それが貯められているのかがわかり、少しでも不安解消につながるはずです。
また、貯める目標と計画を立てることで、ゆとりの分は生活を楽しむことに使うこともできるので、ぜひ下記のような表を作成してみてはいかがでしょう。

目的別貯蓄表の例

なお、老後資金と介護資金については、個々に必要額が異なります。
老後資金については、年金で不足しそうな金額の累計分に、老後のライフイベント費と介護の予備費をプラスして計算します。

介護の予備費は1人につき300万~500万円と考えられます。生命保険文化センター「生命保険に関する実態調査(平成30年)」のデータで試算すると、平均494万円、在宅介護で約311万円かかっています。

「介護施設に入る」と書かれていましたが、有料老人ホームのことだとするなら、かなり幅があります。入居金の有無や月額も様々です。40代だとやや早めではありますが、気になる施設があったら、費用を調べたり、見学に行くのも手です。どのランクの施設を想定されるかで、介護資金は大きく変化します。持ち家の方なら、住宅を売却してそうした資金に充てることもあります。

これらを参考にして表を作成いただき、目標額を設定して余裕資金を確認いただき、いまを楽しみながら、豊かな老後に向けてのイメージづくりをしてみてくださいね。

参考になる制度紹介

<プロフィール>

豊田眞弓(とよだ・まゆみ)
永続家計アドバイザー、大学非常勤講師。

マネー誌等のライターを経て94年より独立系FP。個人相談業務や講演、コラム寄稿などで活躍。Yahoo!個人オーサーも務める。子の金融教育と教育資金を考える「子どもマネー総合研究会」理事、「親の介護・相続と自分の老後に備える会」事務局も務める。「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)ほか著書多数。趣味は講談、投資。

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