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2022年7月、本サイト「もしも私が、100まで生きるなら。」のニュースレター購読の皆さまにお金のお悩みに関するアンケートを実施しました。

5回目は、その際に寄せられた40代男性からの「2人の子どもの教育費に関するマネー相談」です。お寄せいただいたお悩みに対し、メディアなどで活躍中のファイナンシャル・プランナー(以下FP)の先生が相談に乗ってくださいました。

2022.12.15長生き時代のヒントを見つけよう

2人の子どもを育て上げ、いずれは独立して起業したい。

相談者のプロフィール(写真はイメージ)

  • 愛媛県にお住まいの40代男性/会社員(正社員)/年収:800万円~1,000万円
  • 家族構成:配偶者(39歳)、お子さま2人(6才以下、7~17才)の4人暮らし
  • お子さまの進路イメージ:公立中心、本人の意思を尊重

相談内容(一部、表現を修正しています)

テーマ:2人の子どもの教育費について
現在、子どもが2人います。子どもの教育費は、公開されているデータブックを見ればだいたいの金額はわかるのですが、果たして本当にその通りと思っていればいいのでしょうか?もっと考慮すべきことや備えておくべきことはありますか?
また、今は会社員ですが、いずれは独立し起業したいと考えています。

世帯収支

加入保険、貯蓄・運用について

  • 加入保険の死亡保障額:5,000万円、入院保障額/1日:1万円
  • 配偶者の入院保障額/1日:1万円
  • 貯蓄・運用の内訳:預貯金、投資信託、iDeCo、NISA、つみたてNISA(金額は未記入)

FPからのアドバイス

こんにちは、FPの松浦建二です。いただいた相談者の情報をもとに、子どもにかかる教育費とその備え方について、そして相談者の起業について考えてみましょう。

子どもの教育費について、まずは必要になる費用を確認しましょう。中学校と高校の費用は文部科学省『子供の学習費調査』で詳しく取り上げているので、直近の調査結果を紹介します。お子さまの進路は公立中心とのことですが、比較対象として私立の費用も載せておきます。また、細かな費用も確認できるよう、調査項目を極力まとめずに細かいままにしておきました。

公立・私立中学校の学年別支出内訳 単位:円

資料:文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』 ※合計値(3年間)は筆者が計算

費用項目は大きく分けて3つ、主に学校へ払う「学校教育費」、給食に関する「学校給食費」、家庭の判断で払う習い事等の「学校外活動費」です。全部含めて公立中学校の場合は3年間で約146万円、私立中学校の場合は約422万円となっています。私立中学校の方がかなり費用はかかります。

平均値から費用が大幅に増えるとしたら「昼食(特に私立)」「部活」「宿泊行事(特に私立)」「タブレットパソコン」「寄付金(私立)」「学習塾」等の費用ではないでしょうか。昼食については、表では私立の学校給食費が少ないですが、代わりに弁当持参や購入等で費用は当然かかります。部活は特に運動系だと練習着・試合着・用具・合宿・遠征費等がかかり、高額になる場合もあります。宿泊行事は行先が遠方で日数が長く、複数回行けば、費用は膨れていきます。タブレットパソコンは購入する場合だと10万円以上になり、もし紛失や破損により再度購入することにでもなれば、追加負担が生じます。

2つ目の表は公立と私立の高校です。費用項目は中学校と同じです。

公立・私立高校の学年別支出内訳 単位:円

資料:文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』 ※合計値(3年間)は筆者が計算

高校3年間の教育費は、公立高校で約137万円、私立高校で約290万円となっています。中学校と比べると、公立は学校教育費が増え、学校給食費と学校外活動費が減り、3年間の合計では約9万円減っています。私立は授業料の公的補助の存在が大きく、3年間で約131万円も減っています。

もう一つ、大学の費用も紹介します。こちらは日本学生支援機構『令和2年度学生生活調査』の結果で、表は1年あたりの費用です。支出総額は「学費」+「生活費」+「住居・光熱費」の合計となっています。国立と私立の自宅は親元から通学なので、住居・光熱費がありません。

国立・私立大学の支出内訳(自宅・賃貸) 単位:円

資料:日本学生支援機構『令和2年度学生生活調査』

傾向として、国立の賃貸と私立の自宅が同程度の支出額となっています。もし相談者のお子さまが関東や関西の私立大学へ進学したら、4年間で1千万円弱の費用がかかりそうです。ただ、大学生の収入内訳をみると、奨学金やアルバイト収入も多く、親が費用の全てを負担しているわけではありません。

継続すること

子ども2人の教育費は簡単に準備できる額ではないので、早い段階から計画的に貯めていくことが大事です。相談者は現在、毎月20万円の貯蓄・運用をしているとのことで、素晴らしい習慣です。目標額と時期を定め、続けていくと良いでしょう。

もし、子どもが留学や医学部・海外大学・大学院等への進学を希望したら、その分も上乗せして準備する必要があります。早めに子どもの将来の夢や希望を理解できるよう、日頃から子どもとの会話を大事にしたいところです。

やめること

世帯収支を見る限り無駄遣いはなく、毎月大幅な黒字で収入の37%も貯蓄・運用できています。支出の内訳もバランスが取れており、大きく改善が必要な点は見受けられません。もしリスクの高い金融商品を利用されているなら、教育費を確実に準備するためにも、リスクを許容できる範囲に抑えた方が良いです。反対にいろいろ運用されている中で預貯金に余裕があれば、マイカーローンを早めに返済して金利負担を減らすことを検討してみてはいかがでしょうか。

新しくはじめること

相談者の独立・起業についても情報収集や独立資金の準備を少しずつ始めていくと良いでしょう。会社員を辞めて独立・起業する場合、特に初期の収入が不安定になるので、ある程度の貯蓄が必要(業種によっては借入も必要)です。教育費のための預貯金を使うわけにはいかないので、別に準備していく必要があります。具体的な業種がわからないので金額を算出するのが難しいですが、開業資金のうち自己資金1/3以上を目標にすることをお勧めします。融資の際には、コツコツと準備してきた姿勢も問われます。開業時期と目標金額から逆算して、おおよその月額の貯蓄金額を設定しましょう。また、独立・起業は家族の理解や協力がとても大事です。日頃から事業計画について話をしておくと良いでしょう。

そして、起業後に一生懸命働くためには健康が大事です。日頃から規則正しい生活を送り、健康に過ごせるよう心掛けてください。
また、病気やケガ等の万一の出来事により、子どもの教育費や起業後の資金が不足してしまっては大変です。親の病気やケガで子どもの夢や希望を断念することのないよう、加入している保険の内容で十分なのか、今一度確認しておきましょう。

参考資料

文中で使用した文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』と日本学生支援機構『令和2年度学生生活調査』では、高校生までの教育費を細かく調査しています。参考にしてみてください。

参考になる制度紹介

調査・データページに学生生活費の調査なども掲載されており、今の大学生の収入と支出を理解するのに役立つので、奨学金のページ以外も目を通しておくと良いでしょう。

日本学生支援機構 奨学金 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/index.html

<プロフィール>

松浦建二(まつうら・けんじ)
CFP®認定者 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

青山学院大学卒、ミサワホームで戸建てやアパートの営業を経験後、アイエヌジー(現エヌエヌ)生命保険会社へ転職し生命保険と投資信託の営業を経験。2002年からファイナンシャル・プランナーとして主に個人のライフプランや生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っているほか、FPに関する執筆や講演も多数行っている。青山学院大学非常勤講師。

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